
韓国の保育現場で、園長による監視と不当な扱いにより保育士の大量離職が相次いでいる。防犯カメラがトイレにまで設置され、園長が職員を常時監視する事例もあり、専門家は明白な違法行為だと警告している。
ある保育士の女性の勤務時間は午前9時から午後6時だったが、実際には早出や残業を強いられた。園内の廊下、教室、職員室はもちろんトイレの洗面台付近にまで防犯カメラが設置され、園長は「何をしていた」と細かく指摘。女性は精神的に限界を感じて退職した。
16年目のベテラン保育士は、園長の横領を役所に内部告発したが、その情報は園長に筒抜けで、措置も警告にとどまった。園長が自身の利益を最優先するため園児は減り、教員は次々辞めた。園長たちの間では、彼らにとって問題のある教員を載せる「ブラックリスト」も存在した。
教育省の2024年保育実態調査によると、2023年に保育士の退職が発生した保育園は全体の74.8%に達した。保育士の退職率は19.4%と高止まりが続いている。
専門家は「トイレに防犯カメラを設置するのは個人情報保護法違反」と指摘。監視が強まれば保育士の心理的負担が大きくなり、子どもの発達支援活動に支障をきたすと警鐘を鳴らす。また、ブラックリストの共有は労働基準法違反に当たり処罰対象だ。
教育関係者は「保育士の労働組合加入率は10%未満。加入したらブラックリストに載る恐れがあるので労組を避ける風潮がある」と指摘。保育労組関係者も「保育士を単なる労働力として扱う認識が続く限り、専門性も人権も認められない」と言い、保育士の権利保護と人権中心の制度転換を訴えている。
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