韓国で最近、地域農協など第2金融圏(証券会社、総合金融会社、保険会社、カード会社など多様な非銀行金融機関)の高金利の特販トラブルが相次いで発生し、消費者の不安が高まっている。特に10年前に取り付け騒ぎが起きた貯蓄銀行も、不動産プロジェクトファイナンス(PF=特定の事業から生み出される収益を返済原資として担保も対象事業の資産などに限定する貸出形態)と最高金利規制などで収益性が悪化し、関心が集中している。
韓国では、2000年代の不動産好況期に乗って貯蓄銀行がPF貸出に積極的に乗り出した。しかし2008年9月の米リーマン・ブラザーズの破綻を引き金とした金融危機により、不動産バブルが崩壊。貯蓄銀行は、集めた預金を不動産投資にからむ融資に向けていたため、それが焦げ付いた。韓国政府が2011年、多数の貯蓄銀行に業務停止命令を出したことで預金者に動揺が広がり、取り付け騒ぎが起きた――という経緯がある。
最近、韓国の財テクコミュニティなどでは、当時の貯蓄銀行の取り付け騒ぎに焦点を当てる書き込みが相次いでいる。取り付け騒ぎの前兆を共有したり、当時預けた金額を返してもらったかなどを共有したりする内容だ。金融当局は当時、国際決済銀行(BIS)基準自己資本比率が未達の貯蓄銀行に業務停止命令を出した。
最近、地域農協などで起きたトラブルは10年前の悪夢を想起させた。
慶尚南道(キョンサンナムド)のある地域畜産農協と、慶尚北道(キョンサンプット)慶州市(キョンジュシ)の地域農協が高金利商品を販売したところ、農協側のミスで目標金額より資金が過度に集中し、顧客に商品解約を訴える事態が発生した。金融界全般の高金利の預貯金争奪戦がこうしたトラブルを生んだのだ。
貯蓄銀行の預貯金残高は、利上げ期に乗って大幅に増えた。韓国銀行によると、10月末の相互貯蓄銀行の残高は120兆9909億ウォン(約12兆6717億円)で、金利引き上げが加速化した今年だけで18兆5474億ウォン(約1兆9425億円)増加した。最近、増加傾向が停滞したものの、依然として貯蓄銀行業界には最高金利が年6%台に迫る預金商品がかなりある。
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