2025 年 11月 15日 (土)
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韓国の「核心鉱物」最大90%を中国に依存…専門家「今こそ鉱物スワップが必要」

ソウルで開かれた「バッテリー・コリア2024」会場(c)news1

米中のレアアース(希土類)をめぐる覇権争いが一時的に小康状態となる中、韓国が戦略産業に不可欠な「10大核心鉱物」の輸入を依然として中国に過度に依存している実態が明らかになった。リチウムや黒鉛、マンガンなどにおいて、輸入比率が80%を超えるものもあり、供給網の多角化と鉱物スワップ体制の整備が急務との指摘が相次いでいる。

対外経済政策研究院(KIEP)が9日に発表した報告書によると、2023年基準で韓国が中国から輸入している核心鉱物の比率は、リチウム81.1%、マンガン84.0%、黒鉛97.5%、酸化コバルト77.3%、希土類80%に達した。特に、希土類の中でも永磁石原料は97.9%、スカンジウム・イットリウム89.5%、希土類化合物69.5%と、極めて高い依存度が示された。

KIEPは、これらの鉱物が2次電池、エネルギー貯蔵装置(ESS)、医療機器、半導体など先端産業に不可欠であることから、仮に中国が輸出規制を強化すれば、短期的には原材料調達の遅延による製造コストの増大、長期的には供給網再編に伴う構造的コスト上昇が避けられないと分析している。

韓国政府は2023年、リチウムやコバルト、黒鉛など中国からの輸入依存を2030年までに50%台に引き下げる方針を打ち出していた。しかし、その達成には困難が予想されており、政府と民間、そして公共機関の連携が不可欠とされる。

対策としては、アフリカ・タンザニアのマヘンゲ黒鉛鉱山への投資をはじめ、韓国が2024年より議長国を務める「鉱物安全保障パートナーシップ(MSP)」を通じた国際連携が進められている。マヘンゲ鉱山には、約600万トンの埋蔵量があり、韓国のポスコグループも戦略的パートナーとして参加している。

また、政府は2030年までに10大核心鉱物の再資源化率を20%に高める方針も示しており、原材料から製品までのバリューチェーン全体を網羅する「再資源化クラスター」の実証事業を推進している。再資源化施設や分析・認証体制の整備、民間企業向け支援パッケージも計画されている。

だがKIEPは、こうした計画にも限界があると指摘する。中国との競合を回避するためには、脱中国依存というよりも、中国企業と現地(鉱物保有国)で協力する実利的な戦略への転換が必要だと強調する。

KIEPのキム・ジュヘ研究員は「今後、バナジウムやアルミニウム、マグネシウムなど他の鉱物にまで中国の輸出規制が拡大する可能性がある。中国との関係を断つのではなく、他国での中国企業との協力体制を強化すべき」と提言した。

(c)news1

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