北朝鮮の外交官だったテ・ヨンホ(太永浩)民主平和統一諮問会議事務処長が4日、ソウル市中区の民主平和統一事務室で韓国統一省の記者団と懇談し、北朝鮮政権が南北の経済規模を120対1と認識していると明らかにした。一般的に韓国では、北朝鮮との経済格差は60倍以上と見なされている。そのうえで「(北朝鮮の政権は)このような経済格差をもって、(住民に対して)統一が実現すれば韓国の資本の奴隷になると言っている」との認識を示した。
韓国銀行が昨年7月に発表した「北朝鮮の経済成長率推定結果」によると、過去10年間(2013~2022年)の北朝鮮の実質GDP(国内総生産)の平均値は33兆2442億ウォン(約3兆6000億円)。これは韓国が1963年に記録した経済水準に相当する。昨年、北朝鮮がロシアに武器を供給したことなどで経済成長が予想されているが、依然として微々たるものだ。
テ・ヨンホ氏は、南北の平和統一のために、韓国の文化コンテンツや脱北者の定着過程などを海外で働く北朝鮮人労働者に伝えるため、SNSを活用する考えを示した。
北朝鮮内部ではコンピュータや携帯電話が使用され、海外に出る労働者も携帯電話を持って出ており、「外貨を稼ぐ主要な労働者たちは3年ごとに帰国するため、携帯電話を通じて韓国社会に触れることができる」との見解を示した。脱北者が韓国に行けば、どのような試練が待ち受け、それをどう克服するのか――客観的に韓国を見ることができるように、オンライン映像を作成するとの意向を明らかにした。
テ・ヨンホ氏は「現在、韓国では少子化により製造業分野で人材不足が生じているが、北朝鮮がそれを補充することができる。(統一した際に)どれだけ経済的効用が生まれ、北朝鮮住民の生活にもどれほど役立つかを知らせていきたい」と強調した。
テ・ヨンホ氏は、先月2日にユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領から民主平和統一事務処長(次官級)の任命状を受け、業務を遂行している。この職位に脱北者出身者が起用されたのは初めて。
テ・ヨンホ氏は英国駐在の北朝鮮公使として勤務し、2016年8月、韓国に亡命した。2020年4月には、未来統合党(現「国民の力」)所属で国会議員に当選し、4年間議員を務めた。
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