韓国で2週間以上豪雨が続き、随所で老朽建築物の擁壁や石垣が崩れる事故が相次いでいる。擁壁と石垣は土砂が流れ落ちることを防止するのに役立つ一方で、排水施設がなければ崩壊の危険が大きくなる。雨水が石の間に染み込んで内部が膨張し、これに耐えられない壁が崩れ落ちる。
ソウル市城北区三仙洞の住宅街で7月23日会ったパンさん(63)は、防水シートで覆われた擁壁の残骸を眺めながら「これ以上崩れないといいのだが……。大雨がまた降ると土砂まで流れ落ちるのではないかと心配」ともらす。
22日午前11時7分ごろ、パンさんの家のすぐそばにあった擁壁が崩れ落ちた。
2階に上がる鉄製の階段が飴のように曲がり、残骸はパンさんの家の門の前と路地まで覆ってしまった。
近隣住民らは不安な気持ちを隠せなかった。
擁壁が崩れる音を聞いたという50代のユさんは、次のように当時を振り返った。
「22日未明、ひどい降雨になり、何かが爆発するように『ポン』という音がして、あっという間に壁が崩れた。擁壁に沿って敷かれたガス管が爆発し、一帯にガスの匂いが立ち込めた。誰かがたばこでも吸ったらと思うと、恐ろしくなる」
17日にはソウル市鍾路区の野山から流出した土砂が、ある寺に瞬く間に押し寄せ、分厚い鉄門を押し倒した。また同日、同区昌義門から北岳スカイウェイへ向かう往復2車線の道路で、大雨で土砂が流出し、安全フェンスが崩れた。
専門家は異常気象による局地的豪雨が、老朽化した建築物の崩壊と土砂の流出を引き起こす可能性を指摘する。
延世大学土木工学科のチョ・ウォンチョル名誉教授は「断続的に強い雨が降ることになれば、土の中の水分が乾かない状況が続き、土砂が流出する可能性が高くなる。家を建てるために山の斜面を削って擁壁を作ったりすることが、山崩れを誘発する原因だ」と指摘する。
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