
韓国の世帯の実質所得は2025年1~3月期(第1四半期)に4期連続で増加した一方で、実質消費支出は0.7%減少し、7四半期ぶりにマイナスへ転じた。収入は増えても支出を抑える、いわゆる「不況型黒字」の様相が強まっている。
統計庁が5月29日に発表した「2025年第1四半期家計動向調査」によると、全国の1人以上一般世帯の月平均所得は535万1000ウォン(約53万円)で、前年同期比4.5%増加した。
所得構成をみると、労働所得が3.7%、事業所得が3.0%、移転所得が7.5%それぞれ増加。特に公的年金や育児休業給付の制度改善を反映した公的移転所得は9.9%増と、2023年第4四半期以来の高い伸びとなった。
物価上昇率(2.1%)を考慮した実質所得も2.3%増で、4四半期連続の増加となった。税金や利子などの非消費支出を除いた「可処分所得」は4.5%増、可処分所得から消費支出を差し引いた「黒字額」も12.3%増加した。
一方、1世帯あたりの月平均消費支出は295万ウォンで、前年比1.4%の小幅な増加にとどまった。消費項目別では、生活必需支出である「住居・水道・光熱(+5.8%)」「食品・外食(+2.1%)」「食料品・非酒類飲料(+2.6%)」などが増えた一方で、「自動車購入(-12.0%)」「衣類・靴(-4.7%)」「酒類・たばこ(-4.3%)」など準耐久財への支出は減少した。教育支出も0.1%減、塾・補習教育費は0.7%減少した。
名目支出がわずかに増えたものの、物価上昇率がそれを上回ったため、体感的な消費(実質消費支出)はむしろ減少した。
統計庁関係者は「支出が減ったというより、物価上昇の影響で名目上増えたにすぎない項目も多く、実際の消費は抑制された可能性がある」と述べた。世帯の可処分所得から消費支出を引いた黒字額は127万9000ウォンとなり、「支出を控えて黒字が増える不況型の特徴がみられる」との分析も出ている。
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