ソウル・新林洞(シンリムドン)で起きた強姦殺人事件の被害者が死亡したことで、警察は20日、性的暴行の疑いで逮捕した30代の無職男性について容疑を強姦殺人に切り替えた。そんな中、この男性が過去にうつ病と診断されたのに治療を受けていなかったことが同居していた家族への調べでわかった。最近相次いでいる凶悪犯罪の他の容疑者も精神疾患の診断を受けていたとされ、早期治療と管理する制度の必要性が高まっている。
うつ病の診断を受けたのに治療を受けていなかったという状況は、最近起きた凶悪犯罪の容疑者らと似ている。
19日にソウル地下鉄2号線で男性2人を攻撃して負傷させた疑いが持たれている50代男性も統合失調症の治療を受けたが、治療を中断していた。警察によると、特殊傷害の疑いで逮捕されたこの男性は2019年に治療を中断しており、調べに対して「列車の中で数人から攻撃され、身を守るため暴行した」と供述したという。
凶器を振り回して14人を死傷させた3日の「ソヒョン駅事件」の容疑者(22)も同じだ。3年前に人格障害の診断を受けたが治療を中断し、警察の調べに「特定の集団が私を殺そうとしている」と話すなど、妄想とみられる症状があったという。
専門家は、適切に治療・管理ができていれば、こうした事件は起きなかったと口をそろえる。
ソウル大学病院精神健康医学科のソン・ジフン教授は「幻聴や妄想など統合失調症患者に現れる『陽性症状』は薬で管理できる。早期治療がとても重要だ」と指摘する。だが、精神疾患の患者を管理する国家レベルのシステムはない。
保健福祉省は関係省庁と関連制度の改善を議論している。チョ・ギュホン(曺圭鴻)保健福祉相は18日、「治療に重点を置くより、予防・早期発見・治療充実・日常復帰・退院後の体系的支援など、全周期的に管理する対策を早急に作る」と明らかにした。
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