韓国で、政府による国民健康増進法の改正をめぐり、喫煙者の権利と非喫煙者の健康保護が対立し、議論を呼んでいる。
法改正によって、幼稚園や保育園、小中高校の敷地から30メートル以内が新たに禁煙区域に指定された。全国の主要オフィスに隣接する幼稚園や保育園、学校周辺の屋外喫煙所が次々と閉鎖されている。
SNS上では、政府の方針に賛同し、非喫煙者の権利保護を支持する声が多く上がっている。一方で、喫煙者からは「喫煙場所を閉鎖するだけでなく、代替の喫煙場所を提供するべきだ」との不満も噴出している。
現在、韓国で販売されるたばこの価格には、たばこ消費税、地方教育税、国民健康増進負担金、個別消費税が含まれており、総額3300ウォン(約370円)が税金として徴収されている。
たばこ製造会社が喫煙ブースを設置するべきだという意見も出ているが、現実的には難しい状況だ。例えば、ソウル市の一部の地域では、自治体が特定の公共施設に、喫煙ブースを設置するよう既に要請しているが、それ以外の場所では地元の合意が必要だ。特に、新たに指定された禁煙区域では、反対の声が予想され、喫煙ブースの設置は容易ではない。ソウル市江南区では1カ所も喫煙ブースがない一方で、城東区では9カ所のブースが運営されているなど設置状況にはばらつきもある。
業界関係者は「喫煙場所が減少しても、すぐに喫煙者が減るわけではない。むしろ、喫煙者と非喫煙者間の対立が深まることが懸念され、社会的な合意が必要だ」と指摘している。
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