環境汚染の主な原因とされる「プラスチック」の需要および廃棄量が毎年増加している。特に韓国では、1人あたり年間132.7㎏のプラスチックを消費しており、世界的に見てもプラスチックを多く消費する国のひとつだ。
リサイクル率の低さが問題をさらに悪化させている。環境省の統計によると、2021年基準で生活廃プラスチックのリサイクル率は約57%で、全体のリサイクル率(73%)よりも低い。生活廃プラスチックはさまざまな素材が混在しており、手作業での選別が必要であるなど、リサイクルの条件が難しいためだ。
こうした廃プラスチックによる気候危機を解決し、循環型経済を実現するため、昨年、大手企業と中小企業が手を組んだ。
◇大手企業の研究と中小企業の技術が融合
韓国プラスチック産業協同組合は、協力企業と共に2023年に同伴成長委員会の業種別競争力強化事業に参加した。
生活廃プラスチックをリサイクルするには、相溶化剤を添加してプラスチックの加工しやすさと均一な物性を持つ再生原料を製造する必要がある。しかし、国内の廃棄物リサイクル業者約6000社のうち約80%は従業員20人未満で、独自のリサイクル技術を開発するのが難しいのが現状だ。
そこで大手企業が積極的に支援した。協力企業のSKジオセントリックは、高品質再生原料を開発するための相溶化剤の最適な配合条件を提示し、再生原料のラボスケール分析をサポートした。
大手企業が提案した相溶化剤の条件をもとに、中小企業のマンテクやケイリサイクリングなどは、生活廃プラスチックを利用した高品質再生原料を開発・製品化した。この高品質再生原料は従来のものよりも引張強度が高いのが特徴だ。
高品質再生原料をもとに、他の中小企業は生活で使われるプラスチックリサイクル製品を開発した。サムドン産業は農業用マルチングフィルムを製造した。フィルムの30%が廃プラスチックで構成されている。
ドンソンが開発した衣料用リサイクル包装材は、生活廃プラスチック50%と相溶化剤、新しい低密度ポリエチレン(LLDPE)で構成されており、プラスチック協同組合は今後GSリテールやイーマートなどの民間大手流通企業に納品する。
◇公共用のリサイクルごみ袋
中でも、特に中小企業のインテックとドンソンが開発した「公共用ごみ袋」「リサイクル品回収循環型袋」は、自治体の試験配布品目として選ばれた。
選ばれた製品は、リサイクル品回収用および一般ごみ用袋であり、生活廃プラスチック約10トンと相溶化剤を混ぜて開発された。素材の30%は廃プラスチックだ。
プラスチック協同組合はソウル市や光州市と資源循環に関する業務協約を締結し、昨年12月、廃プラスチックで作ったごみ袋を100ℓ基準で37万5000枚供給した。リサイクルされた廃プラスチックと新素材の原料は約44トン使用された。
ソウル市には25万9000枚の資源循環用ごみ袋が、漢江公園の11カ所(汝矣島、蚕室など)と市直営の公園24カ所(南山、ソウルの森など)に試験配布された。光州市には11万6000枚が供給された。
プラスチック協同組合は公共用リサイクル袋によってプラスチック循環型経済の構築に貢献し、今年6月、ソウル特別市の環境賞資源循環分野で優秀賞を受賞した。
◇対立から共存まで…進行中のパートナーシップ
廃プラスチックリサイクル事業は昨年11月に完了した。しかし、業界によれば、大手企業と中小企業が協力して作り出す循環型経済サイクルは現在も続いている。
SKジオセントリックの関係者は「廃プラスチックの収集や粉砕、切断は中小企業の助けが必要で、大手企業は収集から中間段階、最終流通までの役割を果たしている」と説明している。また、「共生協約後、大手企業ができる範囲には限界があるため、中小企業の物理的リサイクルがうまくいってこそ、後続の大手企業による化学的リサイクルも可能になる」と述べた。
事実、廃プラスチックリサイクル事業は大手企業と中小企業間で深刻な対立を引き起こしていた分野のひとつだった。
プラスチックの選別業や原料再生業は、中小企業が40年以上にわたり営んできた典型的な労働集約型産業であったが、大手企業が中小企業を買収して市場に参入することで対立が生じた。
同伴成長委員会は、プラスチックリサイクル業の中小企業適合業種の申請を受けたが、大手企業と中小企業が役割を分担し、適合業種の勧告ではなく、共生協約を締結することで最終的に調整された。その結果、昨年11月に中小企業は物理的リサイクル市場、大手企業は化学的リサイクル市場に専念することとなった。
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