2025 年 2月 12日 (水)
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韓国で揺らぐ革新の炎…このままでは消えてしまう [韓国記者コラム]

昨年12月、ソウルで開かれたCOMEUP 2024(c)news1

韓国政府が1月に発表した今年の韓国の経済成長率予測は「1.8%」。昨年の2.1%を下回る数値だ。さらに、トランプ米大統領の関税政策により、不確実性は一層高まった。海外では、韓国の経済成長率が1.1%にとどまるという悲観的な見方も出ている。

経済成長率の低下は、企業の売り上げ減少と雇用悪化を意味する。このような状況下では、企業は安定した成長を期待しにくくなる。特に、韓国の主要輸出品であった半導体、鉄鋼、化学分野では、すでに主導権を失いつつある。既存産業の競争力を維持することも重要だが、今こそ新しい産業への投資が必要だ。

大企業が主導する成長モデルから脱却し、革新を促進しなければならない。その担い手となるのは、小規模ながら機敏に対応できるスタートアップだ。政府が2023年8月に「スタートアップ・コリア総合対策」を打ち出し、「新たな成長動力の発掘が必要だ」と強調したのもこのためだ。

しかし、長年スタートアップ業界に携わってきた専門家たちは、革新の勢いが衰えつつあると指摘する。課題が山積しているにもかかわらず、変化のスピードがあまりにも遅いからだ。

新産業が成長する過程で必ず直面する規制問題はいまだに解決されていない。業界団体の影響力によってスタートアップの成長が阻まれ、政府は既得権や省庁間の利害対立を理由に消極的な姿勢を取ることが多い。

「原則自由、例外規制」が唯一の解決策――この意見が専門家の間では強い。しかし、韓国では依然として「規制サンドボックス」(地域や期間を限定して既存の法律や規制の適用を一時的に停止する制度)が最良の選択肢とされている。規制サンドボックスを通過しても、スタートアップはまるで砂袋を背負って走るように、制限付きでしか事業を進められない。規制撤廃こそがコストゼロで産業を育成する手段だが、政府は常に慎重な姿勢を崩さない。

少なくとも、海外で成功している産業については、韓国でも積極的に導入を検討すべきだ。遠隔医療や自動運転など、すでにグローバル市場で確立された産業が、韓国では依然として制約を受けている。海外企業が韓国市場に参入すれば、韓国のスタートアップは事業を展開する前に淘汰される可能性がある。

世界の潮流に適応せず、別の活路を模索するのは遠回りに過ぎない。政府が「国内市場を超えてグローバル市場へ進出せよ」と掲げるのであれば、海外の規制水準に合わせることが最優先事項となる。

同時に、実行力のある革新者を育成する政府の政策も必要だ。スタートアップの成長を支援する政府の意志と関心は重要だが、その成果が補助金や助成金に偏っているのが現状だ。このため、起業家が政府の支援に頼り切っているという批判も出ている。

先日、筆者が参加した「CES 2024成果共有会」で、CESイノベーション賞を受賞したある企業の代表は「海外企業とのミーティング時に、政府が通訳者を支援してくれたら助かる」と発言した。グローバル進出を目指すスタートアップが、言葉の壁を理由に政府の支援を求める姿に疑問を感じざるを得なかった。

もちろん、すべての起業家が政府の支援に頼っているわけではない。しかし、「支援」と「振興」の間で政府依存の起業家が増えている現状は、革新の火が消えつつある証拠なのかもしれない。【news1 イ・ジョンフ記者】

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