職場で月給に見合った最小限の仕事だけをするという「静かな退社者」は、韓国のMZ世代(1980~1995年生まれ)を中心に広がっている。就職プラットフォームのある調査では、MZ世代の10人のうち3人以上が入社1年足らずで退社したことがわかっている。
教育コンサルティング会社代表であるイ・ホゴンは、著書「静かな退社」でMZ世代の退社の理由を分析し、労働市場の構造的変化を展望した。
「個性と自由、面白さと尊重を重視するMZ世代は、既成世代が持つ価値観と全く異なる職業観で組織生活に臨む。特定の価値と生き方に縛られることを拒否し、絶えず新たな自我を探し求めていく」
このように、MZ世代の価値観として▽組織より個人の幸福重視▽職業は手段でありプロセス▽仕事と生活のバランス追求――などを挙げた。
既成世代とは異なり、MZ世代は組織の中で何か大きな目標を設定し、それを達成するために邁進する、という姿勢とはかけ離れている。これが著者の主張だ。
「運命を変えるほど高い地位に上がるという保障もなく、現実的に目標があまりにも遠くにある。十数年後にも現在の会社が市場で生き残れるかどうかも断言できない。このような理由から、MZ世代は組織の外に目標を設定し、現在の組織とは無関係な夢を見る」
著者は若年層の退社の理由を次のように多角的にまとめた。
「現在の会社は終着駅ではなく停車場であるだけ」
「無駄な仕事をしようと入社したわけではない」
「お金や昇進よりはワークライフバランス」
「世の中は広くてお金を稼ぐところは多い」
著者は、変化したMZ世代の価値観を分析することが必要だと強調した。また、企業と経営者が「静かな退社」をどう分析し、対策を立てるべきかについても論じた。
「既成世代とMZ世代が置かれた組織での存在状況は異なる。だから、各自の考えも判断も異なるのだ。善悪の問題ではない。組織を離れる人を肯定的に見てあげることも、残っている社員のための重要なメッセージになる」
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