韓国で、物価高と高い人件費の影響で増えた無人売り場が、「食品消費(流通)期限管理」の死角地帯に置かれているという指摘が出ている。この3年間、消費者からの申告が大幅に増加し、被害予防のため適度な規制が必要だという意見もある。食品当局は、無人売り場で販売される食品の安全管理を強化する方法を検討している。
最近、食品医薬品安全処傘下の食品安全情報院は、昨年の不正・不良食品消費者申告を分析した動向報告書を通じて、無人売り場の食品管理問題を指摘した。食品情報院は報告書を通じて「非対面消費環境が拡大したことにより無人売り場が次第に増加しており、売り場で扱う食品の種類も多様化している」と分析した。
報告書によると、無人売り場関連の申告は2020年の9件から昨年は171件へと、3年間で19倍も増加した。主な申告内容は「消費期限経過」が最も多く、▽異物発見▽製品変質▽衛生点検――などが続いた。食品タイプ別では菓子・キャンディー・飲料類の申告が大部分を占めた。食品情報院関係者は「無人売り場での食品消費が増えたことにより、関連消費者申告も毎年増加している」と説明した。
無人売り場が雨後の筍のように増えているが、店舗数や市場規模がどの程度なのか正確に把握されていない。業界によると、全国の無人売り場は10万店程度と推算され、このうちアイスクリームやミールキットなど食品を販売するところが30%程度と推定される。食品医薬品安全処によると、2022年時点で全国の食品自動販売機営業所の届け出件数は3万7000カ所余りだ。
無人売り場のずさんな食品賞味期限管理による消費者被害が懸念される。昨年、韓国消費者院が調査した無人売り場29カ所で販売する35個の食品の安全性と表示事項などを調査した結果、一部の製品では食中毒菌(黄色ブドウ球菌)が発見され問題になった。食品医薬品安全処が昨年5月、無人カフェ・コンビニ2300カ所に対して集中点検を実施し、13カ所が食品衛生法違反で摘発された。食品医薬品安全処の関係者は「死角地帯が発生しないように最善を尽くす」と述べた。
食品・外食業界は物価高・高賃金時代に無人売り場がますます増加すると見て、規制が必要だと強調する。GS25など主要コンビニ各社は、無人売り場を拡大しており、ロッテリアやSPC、プルムウォンなども関連事業に参入している。業界関係者は「人件費など費用負担が増え収益を出すためにはやむを得ず無人売り場を運用しなければならない」と話した。
食品当局も無人売り場に対する問題点は認識し、対策に頭を悩ませている。ただし無人売り場に対する規制が食品・流通業界の新事業を制限する可能性もあるため慎重な姿勢を見せている。食品医薬品安全処は昨年6月に発表した「食医薬規制革新2.0課題」の一環として、現行の食品自動販売機の営業範囲に、食べ物の調理を含む内容の規制改善を推進している。
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