韓国で、働く高齢層が増え、継続雇用と定年延長の議論に火がついている。以前から「65歳定年」を主張しているユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の直属の経済社会労働委員会は「超高齢社会継続雇用研究会」を立ち上げて本格的な政策議論に入り、労組側も段階的定年延長への取り組みを強めている。対立してきた労政が対話の席に着くのか関心が集まっている。
5月に統計庁が発表した経済活動人口調査によると、55~79歳の経済活動参加率は60.2%。企画財政省の先月の雇用統計によると、60歳以上の就業者は1年前より29万8000人も増加した。40代の就業者数が13カ月連続で減少し、20代と30代の雇用率が次第に鈍化しているのとは対照的だ。
働く意欲も強く、統計庁の調査では、高齢層の68.5%が将来も働きたいと答えている。
政府が働く高齢者に注目する理由は、2年後に総人口の20%以上が60歳以上の超高齢社会が訪れるからだ。高齢社会から超高齢社会に進むのにかかる時間はドイツ36年、米国は15年、日本は10年だったが、韓国はわずか7年と世界でも類を見ない。
韓国の法定定年は2016年に延長されてから「60歳」を維持している。政府が定年延長の必要性を提起したのは人材難に備えるためだ。
一方、韓国労働組合総連盟(韓国労総)は16日から国民年金受給開始年齢と法定定年を一致させるべく請願運動を始めた。現在、国民年金を受け取る年齢は63歳だが、2033年から65歳になる。
政府と一線を引いてきた韓国労総は、政府の立場が変化しない以上、対話への復帰はないとしているが、経済社会労働委員会は水面下で復帰を説得している。
韓国労総関係者は「定年延長は今年下半期の政策課題としてわれわれが独自に推進する問題だ」としつつも「請願が終わって国会が議論に着手すれば、われわれも意見を出し、議題が公になっていくのではないか」と見通している。
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