韓国で盗撮被害が深刻化している。韓国政府は「カメラなど利用撮影罪」(盗撮犯罪)を根絶するとして対策を打ち出したが、昨年の盗撮犯罪の申告件数は、前年よりも19%増加した。一方で、盗撮犯罪で拘束される容疑者の比率は低く、政府に一層厳しい対応を求める声が出ている。
◇1年間で19%増…被疑者の半数は10~20代
国会行政安全委員会に所属するチョン・ボンミン「国民の力」議員が23日、警察庁から入手した資料によると、2017年から昨年までの5年間で、盗撮犯罪として申告された事件は2万9396件だった。
目立つのが若者による犯行で、昨年、警察が捜査した5792件のうち容疑者が10代と20代の事件は2897件(50.0%)を占めた。
5年間に捜査を受けた2万7429人のうちでは、20代=9288人(33.9%)、30代=6138人(22.4%)、19歳未満=5041人(18.4%)、40代=3424人(12.5%)、50代=1699人(6.2%)、60歳超=784人(2.9%)の順だった。
◇昨年、共同住宅811件、地下鉄360件…男性95%
昨年検挙された6212件を発生場所別に見てみると、マンションのような共同住宅内で発生した犯罪が811件(13.1%)で、▽路上516件(8.3%)▽駅・待合室411件(6.6%)▽地下鉄360件(5.8%)――と続いた。検挙された容疑者5792人のうち、5484人(95%)が男性で、女性は308人(5%)だった。
◇昨年の拘束率は5.1%に過ぎない…不起訴は22%
昨年、申告があった盗撮犯罪のうち、容疑者が拘束されたのは5.1%にとどまり、警察が起訴しなかった盗撮犯罪も22%あった。
盗撮犯罪での拘束率や起訴率が低いことに関し、政府が盗撮犯罪を放置しているとの厳しい見方が出ている。厳しい世論を受け、政府は2018年6月には、不法撮影行為を重大犯罪として規定し「盗撮との戦争」を宣言している。
最近では、ソウル新堂(シンダン)駅で起きたストーキング殺人事件が注目されたが、容疑者による盗撮は、他の性犯罪にもつながりかねない。
チョン・ボンミン議員は「盗撮が再び猛威を振るっているが、容疑者の拘束率はむしろ落ちている」と指摘。「犯罪をしっかり追及し、厳罰にしなければならない」と強調した。
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