韓国でコストパフォーマンスを超えて「タイムパフォーマンス」を考える消費者が増え、「要約AI」サービスが注目されている。「必要な部分だけを素早く取捨選択して消費する」のが難しい映像や音声を、テキストに変換して要約するサービスを開発するスタートアップが急成長している。
ほとんどの要約AIサービスは、GPT、ハイパークローバー(HyperCLOVA)、ラマ(Llama)のようなファンデーションモデル(AIサービスのエンジン概念)を活用して開発される。誰もがファンデーションモデルを使えるため、多様な企業・開発者がサービスを開発し、ウェブブラウザ拡張プログラムやチャットGPT用GPTs(カスタマイズチャットボット)として提供している。業界では類似のサービスが数百種類あると見ている。
しかし、製品化に成功するケースはまれだ。AI技術は誰でも使えるが、重要な情報を漏らさずに適切な分量にするのは企業の力量だからだ。要約された結果物をいかに活用しやすく見せるかも差別ポイントだ。例えば、誰でも講義を聞いて内容を数行で要約・説明することはできるが、「復習用のメモ書き」として作ることは難しいことと似ている。
韓国国内で注目を集めている要約AIサービス企業は、リリスAI(Lilys)、ビブリッジディップクリップ(Bbridge DipClip)、スノーコアリー(Snow Corely)の3社だ。3社とも「ユーチューブ映像要約」機能をキラーサービスとして掲げ、UI・UX(ユーザー環境・経験)を改善したり、特化市場を攻略して成長している。
最も注目されているのはリリスAIだ。ユーチューブ映像だけでなくウェブページ、PDFファイルなど映像・音声・テキストを要約して提供する。要約すると、内容別にチャプターを作り、オリジナルと比較できるように提供するのが特徴だ。要約した結果物は用語説明・共同作業などが可能なノート形態で提供する。リリスAIのオ・ヒョンス代表は「要約というキーワードにとらわれず、ユーザーのコンテンツを、消費時間を節約することに重点を置いた」と話した。
リリスAIの加入者数は18万人だ。オ・ヒョンス代表とキム・イェインCPO(最高製品責任者)が昨年9月に創業し、社員なしでたった2人が7カ月で成し遂げた成果だ。速度・正確さなどを高めた有料バージョンの売上額も月2000万ウォン(1ウォン=約0.11円)に達する。オ代表は6月中には黒字転換も可能だと予想している。
ユーチューブ映像要約アプリケーション「サマリー」としても知られたBbridgeは最近サービスを大々的に拡張・改編した。まず映像をテキストに要約するサマリーは、テキストの代わりに1分前後のショートフォームで要約する「ディープクリップ」に変えた。テキスト要約は、映像コンテンツ制作会社を狙ったB2B(企業間取引)サービスに変更した。このほか、ユーチューブやインターネット講義を聞きながらノート筆記ができる「スリード」サービスも提供している。
特に最近は、B2B事業の拡張に集中している。Bbridgeのパク・ジョンヒョン代表は「ROI(投資比収益率)や差別点などを考慮すれば、B2Bがより効率的だと判断した。映像コンテンツ制作会社の立場では、追加売り上げを発生させたり、従来の人材活用方式よりマージン率を高めることができるため需要が大きい」と話した。
現在、ビブリッジはヒューネット、サムプロテレビなど企業に関連サービスを提供している。
このほか、ネイバーの子会社スノーもユーチューブ要約サービス「コレリー(Corely)」を提供している。他のユーザーが消費した人気コンテンツやテーマ別コンテンツをキュレーションするなど、一種のプラットフォームの役割をするのが特徴だ。今月時点では無料サービスで提供されており、クローム拡張プログラムなども提供する。
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