韓国で秋夕(チュソク、旧暦の8月15日。今年は29日)になると、一家親戚が集まってお墓の周りの草刈りをする風景が見られたが、今は草刈り代行サービスを利用する人が増えている。ソーシャルディスタンスや家族の形の変化などが影響しているとみられる。
山林組合中央会によると、昨年、全国142の山林組合は計約5万8000件の草刈り代行サービスを提供した。農協中央会を通じた草刈り代行サービスも昨年は278カ所で2万6127件実施された。各地方の民間草刈り業者まで含めれば、年間の草刈り代行サービスは9万件以上と推定される。
墓所1基当たりの草刈り費用は平均9万~10万ウォン(1ウォン=約0.1円)程度だ。墓所の位置や面積などにより、20万ウォン以上となる場合もある。単純に計算しても年間の草刈り代行サービスの規模は、少なくとも70億ウォン、多ければ100億ウォンを上回るとみられる。
少なくない費用にもかかわらず、草刈り代行サービスを利用する人は着実に増えている。特に、新型コロナウイルスの感染拡大を経験し、需要が急増した。当時、対面接触による感染を防止するため、政府レベルで草刈り代行サービスの活用が推奨された。この時に草刈り代行サービスの便利さを感じた人々が、持続的にサービスを利用することで需要をけん引している。
山林組合中央会関係者は「新型コロナウイルス感染拡大前も持続的に増えていたが、新型コロナの時に需要が爆発的に増加した。それまでは3万件から3万5000件程度だったのが、5万件を超え、現在は6万件を目前にしている」と明らかにした。
需要の急増で、予約は秋夕の2カ月余り前の7月から始まった。予約は先着順のため、最も好まれる草刈りの時期である秋夕2週間前の週末(9月16~17日)は、早々と締め切られた。
山林組合中央会の関係者は「自分で草刈りをする人が再び増えているが、最近の世代は親世代より墓地文化に対する関心が低い。家族の構成員数にも変化が生じ、草刈り代行サービスの需要は今後も増え続けるものとみられる」と話した。
さらに、農村人口の高齢化、草刈り機事故、蛇や蜂に攻撃されるなどの安全事故への懸念も草刈り代行サービスの人気を高めているようだ。消防当局によると、2020年から2022年までに発生した蜂刺され事故1994件のうち、523件(26%)が秋夕前の30日間に集中していた。
(c)MONEYTODAY