
韓国の規制当局である放送メディア通信委員会が、米IT大手のGoogleによるインアプリ決済の強制問題に対する制裁手続きを本格化させる見通しとなった。組織発足から6カ月で正常な運営体制を整え、停滞していた課徴金賦課案件の処理にも動きが出ている。
グーグルは年末までに、インアプリ決済手数料を10ポイント引き下げた新制度を韓国に適用する。ただし国内のプラットフォーム業界は、手数料体系が二重構造となったことで実質的な引き下げ幅は5ポイントにとどまるとして反発しており、摩擦は続いている。
放送メディア通信委員会は10日、委員構成後初となる全体会議を開催する。これまで議決に必要な4人を満たせず機能不全の状態が続いていたが、6人体制が整い、山積する主要案件を順次処理していく方針だ。
グーグルのインアプリ決済強制に伴う課徴金賦課案件は初回会議には含まれていないものの、近く議論の対象となる見通しだ。同委員会は前身の放送通信委員会時代の2023年10月、グーグルとAppleが関連法に違反したと判断し、それぞれ475億ウォン(約51億1100万円)と205億ウォン(約22億5800万円)の課徴金を科す方針を予告していた。
この法律は、アプリ市場事業者が特定の決済方式を強制する行為を禁じるもので、2021年9月に世界で初めて施行された。施行後、両社は外部決済を認めたものの、個人情報保護などを理由に26%の手数料を課し、さらに決済代行会社の手数料4〜6%が加わることで、従来の30%を上回る水準となり、事実上制度を形骸化させているとの批判が出ていた。
これに対し当局は、両社が取引上の優越的地位を乱用しインアプリ決済を強制したと判断し、法に基づく上限水準での課徴金賦課を予告した。しかし、その後は組織再編や人員不足の影響で手続きが停滞し、1年以上にわたり実際の課徴金賦課には至っていない。
焦点は、最終的な課徴金の規模に移っている。約2年間停滞していた議論に対し、グーグルが発表した手数料引き下げ政策がどの程度影響するかが注目されている。
グーグルは自社アプリマーケットであるグーグルプレイにおいて、新規アプリ利用者のインアプリ決済手数料を最大30%から20%に引き下げると発表した。この制度は2027年9月30日までに世界で順次適用され、韓国では2026年12月31日までに導入される予定だ。
今回の改編では、手数料が「サービス手数料20%」と「決済手数料5%」に分かれる二重構造となる。グーグルの決済システムを利用する場合は合計25%となり、従来との差は実質5ポイントにとどまる。一方、外部決済には追加の決済手数料は課されない。
最近ではグーグル本社の幹部が委員長と直接面会し、手数料引き下げについて説明もあったが、その実効性をめぐる議論は深まらなかったとされる。
放送メディア通信委員会は、こうした手数料引き下げが課徴金の規模に直ちに影響するかについては慎重な立場を取っている。関係者は、案件が全体会議に上程されれば委員の議論を経て最終決定されるとし、法的要素などを総合的に考慮して判断するとしている。
一方、国内のプラットフォーム業界は依然として強い反発を示している。新たな手数料政策について「見せかけに過ぎない」との指摘が相次いでいる。
中小ゲーム会社などは抗議活動や訴訟にも踏み切っている。ソウル市江南区ではゲーム会社関係者がグーグルコリア前でデモを実施し、法律事務所は消費者を代理してグーグルとアップルの決済強制を問題視する訴訟を提起した。
関係者は、過度な手数料徴収によりグーグルが長年にわたり多額の利益を得てきたと指摘し、市場における支配的地位の問題を訴えている。
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