2024 年 10月 18日 (金)
ホーム社会韓国で問われる「公務員の品位」…時代の情緒・文化で変化する物差し

韓国で問われる「公務員の品位」…時代の情緒・文化で変化する物差し [韓国記者コラム]

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「正式発令も受けていないんですって。何が問題なのか?」「公務員は公務さえしっかりやればいいんじゃない?」「いや、それでも公務員だから守るべきことは守らなければ」「公務員は兼職禁止が当然です」

韓国である7級公務員がインターネット放送で扇情的な行為をして摘発されたことを巡り、オンラインコミュニティでの論議が繰り広げられている。正式発令前の行動であるだけに問題にするのは行き過ぎだという意見と「公務員は公務員らしくなければならない」という意見が対立している。法曹界では、国家公務員法に「品位維持義務」が明示されているため、懲戒が避けられないという見方が広がっている。

今回の事案とは別に公務員の「品位維持義務」があまりにも曖昧だという指摘も出ている。

7級主務官である20代女性A氏は、試補(正式任用前に待機状態の身分)時代に成人専用インターネット放送活動をしていたところ、同僚の通報で摘発され、内部監査を受けている。A氏は放送で自分を公務員として紹介したという。

専門家は重懲戒が避けられないと見ている。国家公務員法第63条には「公務員は職務の内外を問わずその品位を傷つける行為をしてはならない」とされているためだ。A氏がインターネット放送で利益を得ただけに該当部署では「営利業務や兼職禁止」条項違反有無も調査中だ。

ある弁護士は「正式発令はされてはいなかったが、公務員身分で営利行為まで手掛けた。懲戒は避けられないだろう。もし『〇〇部署の〇〇課公務員だ』のように自身の所属と業務を具体的に明らかにしたならば、さらに深刻な品位損傷と見ることができる。そうでなければ斟酌の余地がある」と説明している。

品位の辞書的な意味は「人が備えるべき威厳や気品」だ。最高裁はこれを「公職の体面、信用を維持し、国民全体の奉仕者としての職責を全うするのに遜色のない態度や振る舞いを意味するもの。職務の内外を問わず、国民の受任者としての職責を引き受け、遂行していくのに遜色のない人柄」と定義している。

もしA氏が品位維持義務違反で懲戒を受ければ、直ちに「国民の信頼を失墜させた」という意味になる。

A氏の懲戒とは別に国家公務員法の「品位維持義務」条項には常に「曖昧だ」というレッテルが貼られていた。品位を落とす行為が何かについての具体的な基準がないためだ。

専門家は、社会通念を考慮するしかないと口をそろえる。高麗(コリョ)大学法学専門大学院のチャン・ヨンス教授は次のように指摘する。

「品位損傷の基準は『社会通念上、公職者があんな行為をしてはならない』ということ。社会が変われば、品位損傷に対する基準も変わりうる。公職者に要求されるさまざまな資格などを明示することも不可能で、『品位維持』の基準も変わらざるを得ない」

高麗大学法学専門大学院のチャ・ジンア教授は見解はこうだ。

「必ずしも犯罪行為でなくても、メディアに否定的に報道されるなど公職そのものに対する信頼を毀損したとすれば、品位維持義務違反で懲戒することができる。品位の物差しは時代の情緒や文化によって変わるので、そのため基準をあらかじめ定めることもできず、決めてはならない」【news1 ソ・サンヒョク記者】

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