ソウル・狎鴎亭(アプクジョン)ロールスロイス男事件を契機に韓国で「MZ世代(1980年代半ばから2010年ごろまでに生まれた世代)暴力団」が明るみになっている。
彼らは既存の暴力団とは異なり、地域ではなくSNSを利用しながら、垂直ではなく、水平構造で組織されている。不法スポーツトト(オンライン賭博)、株式リーディングルーム、暗号資産(仮想通貨)詐欺など知能型犯罪をはじめ、麻薬など最新犯罪トレンドをそのまま見せる。
専門家は、彼らが金を目的に緩やかに団結するという点で、過去の暴力団を処罰した法律では限界があると指摘する。
◇関心を向けられることに躊躇なし
かつての暴力団は「犯罪との戦争」を経て合法団体に偽装して活動してきた。
数世代を経て生き残るために日陰で活動してきた。暴力団で政治家だったキム・ドゥハン(金斗漢)氏の時代、政治やくざは大々的な取り締まりを経て、1960年代、遊興産業を基盤とした組織に進化し、1990年代以後、合法を装った事業に目を向けた。
再開発事業など建設業が代表的だ。2000年代後半からは金融界に足を踏み入れた。投資コンサルティングと株価操作など、合法と違法の領域で綱渡りをした。
MZ組織暴力団は、そうした経緯とは異なり、SNSで勢力を誇示する。口頭で伝えられた武勇談は、アフリカテレビやユーチューブなどによって暴力団コンテンツとして制作されたりもする。高級乗用車を運転しながら威勢を誇る点も彼らの特徴だ。関心を向けられることに躊躇しない。
組織犯罪を担当する警察関係者は「最近の検挙事例を見れば、主にSNSを通じて自分たちだけで連帯し、カネになる事業の情報を共有する点が特徴だ。以前の組織暴力団がボス、行動隊長など垂直関係で組織されたとすれば、彼らは水平関係で組織する」と解説する。
◇水平的な形態
実際、忠清南道(チュンチョンナムド)警察庁が発表したMZ暴力団検挙事例を見れば、2002年生まれで構成された「全国会」はSNSで勢力を誇示している。意思決定権者を「ボス」ではなく「会長」と呼び、違法賭博サイト運営と他人名義の通帳流通を主要な収益源としている。組織の運営資金は組織員各自が出す「ダッチペイ(割り勘)」形式で充当してきた。
垂直的に金を集めてボスが再配分する形ではない。水平的な業務形態であるわけだ。
こうした組織の犯罪形態は、最新のトレンドに沿っている。ソウル・狎鴎亭駅近くでロールスロイスを運転して通行人を殴った容疑者(28)と江南区論硯洞(ノンヒョンドン)の道路でランボルギーニを駐車していて、近くの店の従業員を脅かした疑いで拘束された容疑者(30)が関与したという疑惑を受けている「MT5」が代表的だ。
MZ組織暴力団に分類されるMT5は常習麻薬、賭博、詐欺疑惑が浮上した新興犯罪組織だ。MT5は違法スポーツトトサイトの「土砂場」(違法トト運営者の俗称)として活動し、勢力を拡大している。
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