
韓国大統領執務室だった青瓦台(チョンワデ)が再び国家1級保安施設に指定され、8月1日から一般公開が中止された。国内の主要地図アプリはこれを受けて、検索制限や衛星画像のぼかし処理を一斉に実施した。しかしグーグルマップでは現在も青瓦台の建物や出入り口がそのまま表示されており、情報保護の空白が指摘されている。
情報通信業界によると、ネイバー地図、カカオマップ、Tマップは8月1日から青瓦台の検索制限を開始した。午後2時時点で「青瓦台」と検索しても、表示されるのは「青瓦台サランチェ」や「青瓦台前通り」など周辺情報に限られていた。特にTマップは青瓦台周辺の道路表示も一部ぼかしている。
ネイバーとカカオの衛星地図でも青瓦台の建物や標識は大幅にぼかされており、施設の特定が困難になっている。これに対し、グーグルマップは依然として青瓦台本館、正門、迎賓館などの主要施設が詳細に表示され、衛星画像やアクセス経路まで公開されている。
業界関係者は「政府から明確な指示がなくても、国内業者は国家保安施設に指定されたことを受け、自主的に地図情報の制限措置を取っている」としたうえで、「グーグルだけが対応を取っていないのは非常に疑問だ」と話した。
グーグルはこれまでにも1:5000縮尺の高精度地図データの国外持ち出しを韓国政府に求めてきた。韓国政府は一部施設の表示制限などを条件に提案したが、グーグル側はこれを拒否し続けている。
高精度地図データは路地まで詳細に描かれ、軍事施設や政府機関への精密な把握を可能にする。国家予算約1兆ウォンが投じられたこのデータの国外流出については、専門家からも慎重な対応が求められている。
延世大学情報大学院のイ・サンウ教授は「主要軍事施設の非表示処理が保証されないまま、地図データをグーグルに提供するのは極めて不適切だ。一度提供してしまえば回収は不可能になる」と警鐘を鳴らす。
青瓦台は2022年5月に当時のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が執務室を龍山(ヨンサン)に移転した際に一般開放されていた。だが、イ・ジェミョン(李在明)大統領が執務室を再び青瓦台に戻すと発表し、8月1日から一般公開を終了し保安措置を強化している。
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