韓国の大学で「学生の自治」が下火になりつつある。第64代ソウル大学総学生会(総学)の定期選挙投票率が過去最低値を記録し、関心が薄れている。
「総学の選挙? 学生たちは必要性を感じていないですね。誰が投票に行くのでしょうか」。こう話すのは、ソウルのある大学を昨年卒業したイ氏(27)。在学時代、学部の学生会長を務めた人物だ。総学生会選挙に関心が薄れている現状を憂えている。新型コロナウイルス感染のパンデミック以前から学生自治は「消滅」への道を進み、その後、本格化した――こう実感している。
ソウル大学総学生会選挙管理委員会は11月18日、オンラインコミュニティ「エブリタイム」などに投稿して「選挙仮投票率が過半数を超えず、選挙が失敗に終わったことを知らせる。仮投票率は24.4%」と明らかにした。
最近、選挙中か投票を終えたソウル主要大学の総学生会選挙も、候補者が1人のケースがほとんどだった。「学生を投票場に出向かせるような議題が消え、学生会側も新たな議題を出せない」。関係者はこう口をそろえた。
かつて総学は民主化など政治・社会的改革の先頭に立ち、社会の中心的役割を果たした。だが、そのような議題が消えた。在学中に総学生会執行部で活動したことのある人物は「学生の福祉に集中する方向に変わったりもしたが、学生たちから大きな反応は得られなかった」と振り返る。
現在、選挙活動が進められているソウルのB大学。「学校周辺の業者との提携を増やす」「古い建物の塗り替えを推進する」「運動場に芝生を敷く」といった福祉関連の公約が目立つ。「多くの学生を討論の場や投票所に呼び集められる要因が見当たらない」。在学生の1人はこう残念がった。
大学院修士課程のある学生は次のように提案した。
「研究費削減問題のような、総学が学内討論をリードしながら、大学を根本的により良くできる事案を公約に出してほしい。そうしてこそ、総学の必要性について学生が共感し、投票場に行くだろう」
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