ビール最大の繁忙期である夏場を迎え、韓国の酒類メーカー・ハイトジンロの「ケリー」と、同・ロッテ七星飲料の「クラッシュ」が互いに異なるマーケティング戦略を打ち出している。ケリーはソジュ(焼酎)をメクチュ(ビール)で割る「ソメク」マーケティングを展開。クラッシュはモデル「カリーナ」を起用し、若い消費者の獲得に集中している。
韓国農水産食品流通公社(aT)の食品産業統計情報によると、昨年のビール小売店の売上高は総額3兆9297億ウォンで、このうちOBビールの「カス」が1兆5172億ウォン(38.6%)でシェア1位を記録した。ハイトジンロの「テラ」(4697億ウォン、12%)と「フィルライト」(2399億ウォン、6.1%)がそれぞれ2位と3位になった。
メーカー別では、OBビールが46.8%で1位を守り▽ハイトジンロ(28.5%)▽アサヒ(5.1%)▽ロッテ七星飲料(4.6%)▽ハイネケンコリア(4.1%)――の順だった。OBビールとハイトジンロの格差は前年に比べ2.4%ポイント縮まった。ロッテ七星飲料はアサヒに押され、順位が一つ下がった。
ハイトジンロは「テラ」と昨年4月に発売した「ケリー」のツートラック戦略でシェアを高めることを狙ったが、今のところ販売は「テラ」に偏っている。昨年「ケリー」の小売店での売り上げ高は1760億ウォンで、テラの半分以下だった。
ハイトジンロはケリー発売当時、テラとの二重戦略でOBビールからシェア1位を奪還する目標を掲げたが、昨年のシェアは前年(28.4%)比0.1ポイント増にとどまった。
そこでハイトジンロは「ソメクマーケティング」カードを切った。ハイトジンロは最近、特許庁に▽ケリーバッグ▽ソメクケリーバッグ▽名品ソメクケリーバッグ――などの商標を出願した。焼酎「眞露イズバック」とケリーを混ぜて飲む「ソメク」の愛称として20~30代を中心に人気を集めると、商標出願したという。
かつてハイトジンロはソメクブームに支えられ、テラのシェア拡大に成功した。当時は江南(カンナム)、弘大(ホンデ)、汝矣島(ヨイド)を手始めに焼酎「チャミスル」と「テラ」を混ぜて飲む「テスラ」が流行し、テラは発売初年度の目標の267%の販売量を達成した。
ハイトジンロ関係者は「ケリーの発売当時『ケリーバック』という愛称がついたので、販促行事などでもこれを活用したマーケティングを進めている。商標を先に押さえる意味で特許庁に出願した」と話す。「ケリーバッグ」にも「テスラ」同様の効果を期待しているという。
ロッテ七星飲料も昨年末に発売した「クラッシュ」を通じてシェアの拡大に乗り出した。クラッシュは昨年11月に発売したペールラガータイプのビールだ。食品産業統計情報によると、クラッシュは昨年、ビール小売店の売り上げ順位トップ10圏内に入らなかった。
クラッシュは発売初期にメインターゲットとして若年層を設定し、女性アイドルグループ「aespa」のカリーナをモデルに起用した。
昨年は発売100日を記念して「クラッシュアベニュー」ポップアップストアを開設し、若い消費者の攻略に拍車をかけた。今年も引き続きこのような戦略を続けている。先月はクラッシュが公式スポンサーとなっているプロ野球球団「ロッテジャイアンツ」の「海フェスティバル」にメインブランドとして参加し、カリーナとともに多様なイベントを開催した。
この他にもKリーグの人気チーム「FCソウル」と公式スポンサーシップも締結した。
ロッテ七星飲料の関係者は「発売当時、第4世代ビールを前面に出したが、若年層に限定されたマーケティングに固執するつもりはない」と説明した。
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