
韓国で、無縁仏で亡くなる人が増加する一方、予算の限られた自治体が「品格ある葬儀」を提供するには人員・財政の両面で大きな負担となっている。このため公営葬儀に国家的な関与が必要だとの声が市民団体や専門家から相次いでいる。
保健福祉省が各自治体に配布している「無縁仏遺体等の葬送マニュアル」にも「死者の尊厳、保健衛生上の安全、公的福祉の増進を考慮して葬儀を円滑に支援する」と明記されており、政府自身も一定の問題意識を持っていることがうかがえる。
しかし実際には、無縁死者の遺体は行政手続きとして運ばれ、最低限の火葬と納骨で終わるケースが多い。2021年の国会立法調査処も「社会から孤立した人々の人生が最期まで弔われない」と指摘していたが、自治体ごとの支援格差や条例未整備などの問題は依然解消されていない。
この空白を埋めているのが民間団体だ。ソウル市の「ナヌムとナヌム」は公営葬儀支援・相談センターとして、遺族不在の死者の情報を探し出し、市民が弔いの機会を持てるよう活動している。同団体のキム・ミンソク事務局長は「本来は公共部門が担うべき時期だ。制度改善につなげる中間支援機関が必要だ」と訴える。
心理学者のコ・ソンギュ韓国心理学会自殺予防委員長は「死者の情報をきちんとアーカイブ化し、残された人が望めば参照できるようにすることで、喪失と向き合う助けになる」と強調した。
自治体も努力しているが、小規模な自治体では担当者1人が業務を全て担うのが現実だ。ある郡庁関係者は「式の進行や物品確認、後処理まで1人で対応するのは難しい。国からの支援が必要だ」と吐露した。
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