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韓国政府は最近、韓国観光公社が「金剛山(北朝鮮江原道)事業」を目的として受けた南北協力基金1100億ウォンの返済計画変更申請を再び承認したことが明らかになった。これは、2001年に実施された融資でありながら、24年間で元金のわずか5%しか返済されていないという深刻な状況にある。返済問題は依然として解決に至らず、観光公社と政府の間で協議が続けられている。
観光公社は2001年、南北協力基金から900億ウォンの融資を受け、金剛山内の温井閣、温泉場、文芸会館などの資産を買収した。これは、当時、金剛山観光事業を主導していた現代峨山が累積赤字に苦しんでいたことを受け、その負担を軽減するための措置だった。しかし、2008年に韓国人観光客が北朝鮮軍兵士に射殺される事件が発生して金剛山観光は中断。これ以降、観光公社は返済能力を失い、融資金の返済が滞る事態となった。
観光公社は2002年から2008年までに元金45億ウォンと利子74億ウォンを返済したが、その後は返済が完全に停止している。2018年には公社の組織形態が変更され、自主財源の確保が難しくなったことも返済困難に拍車をかけた。
当初、観光公社は今年1月から2028年7月まで、年2回ずつ計8回にわたって855億ウォンの元金と253億5000万ウォンの利子、合計1108億5000万ウォンを返済する予定だった。しかし観光公社は昨年12月末、計画通りの返済が困難であることを理由に返済計画の変更を要請し、統一省が承認した。これにより、1月6日に予定されていた約140億ウォンの第1回返済は6カ月延期され、7月に第1回と第2回分をまとめて267億ウォン返済することになった。
ただ、観光公社は現実的にこの返済を履行する余力がないと見られており、問題解決の糸口は見えていない。
問題の背景には、南北関係という特殊な事情が絡んでいる。北朝鮮が金剛山観光地区内の韓国側資産をすべて撤去し、事実上、南北協力レベルでの金剛山観光再開が不可能になった点だ。このため、観光公社が将来的に観光事業から収益を上げる見込みは極めて薄い。
一部では、南北関係の特殊性を考慮し、国会レベルでの法改正や負債帳消しといった抜本的な解決策が必要だという声も上がっている。観光公社は「統一省と引き続き協議を進め、利率調整や返済猶予などを交渉している」と説明。また、「国会には負債を資本金として転換できるようにするための基金法改正を提案している」として、根本的な問題解決に向けた努力を続けている。
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