韓国で、医師と政府の対立が長期化し、最近では診療拒否や救急病院でのたらい回しが頻発している。こうした中、いわゆる「小児糖尿病」と呼ばれる1型糖尿病を抱える子どもたちの親たちは不安を募らせている。1型糖尿病患者会によると、深刻な高血糖や低血糖状態で病院に迅速に繋がらず、緊急処置が遅れ、容態が悪化するケースが少なくない。
昨年8月に初めて1型糖尿病と診断された5歳のソヌちゃんは、体内で血糖を調節できないため、外部からインスリン注射を必要とする。秋夕の連休最終日の9月18日、普段はおやつ一つにも気をつけていたが、この日ばかりはソヌちゃんも秋夕のごちそうをたっぷり食べた。
普段より多めにインスリン注射を打ったソヌちゃんは、その日の午後8時ごろから約40㎎/dLの深刻な低血糖状態になった。急いで母親がお菓子とジュースを少し与えたが、ソヌちゃんの目は徐々に閉じ、意識も弱まっていった。2時間ほど経っても低血糖が続き、母親は119に通報した。
母親が「ブドウ糖の点滴だけでもお願いできないか」と尋ねると、119救急隊から「救急車では病院に行く前に生命維持のための措置しかできません。病院で診察を受けてください」と言われた。
ソヌちゃんの意識が薄れていく中、母親の不安も高まった。119から提供された近隣病院の連絡先に電話をかけたが、小児科の担当医がいないという理由で何度も診察を断られた。彼らが住む釜山近郊には、当時、東亜大学病院や梁山釜山大学病院、釜山白病院、釜山医療院などがあった。
幸い、救急車を呼んでから間もなくしてソヌちゃんの血糖値は正常に戻り始めた。母親が、横たわる子どもの頭を後ろに傾け、砂糖水を口に流し込む努力が功を奏したのだ。
危機を無事に乗り越えた。だが母親はその日以降、常に不安を抱えている。「連休中に子どもたちには『病院に行っても受け入れてもらえないかもしれないから、絶対に怪我や病気をしないように』と言っていたのに、まさにその状況になってしまった。もっと早く病院を探しておけばよかったと後悔している。医療崩壊が本当に恨めしく感じた」と話した。
先月28日には、忠北・清州でも8歳の子どもが高血糖によるケトン酸症で「救急病院をたらい回し」され、2時間後に仁川へ搬送される事態が発生した。
現行の法規では、1級の救急救命士が低血糖状態の患者にブドウ糖を投与することが可能だが、重度の高血糖状態に対してインスリンの投与は規定に含まれていないため、患者家族の不安は依然として大きい。
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