2025 年 5月 22日 (木)
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韓国「非常戒厳」出動の兵士、今も強いストレス…“高リスク群”2人確認、当局が調査へ

2024年12月4日未明、武装した戒厳軍が国会を撤収する様子(c)news1

韓国で昨年12月3日の「非常戒厳」宣布に出動した軍人1000人余りを対象とした心理検査の結果、精神的に深刻な状態とされる「高リスク群」が2人、継続的なケアが必要な「関心群」が69人に上ることが分かった。国家人権委員会はこの数字を「意味ある水準」と判断し、今月末に各部隊を訪問し、現場調査に乗り出す方針。

国会国防委員会所属の野党「共に民主党」チュ・ミエ議員室が国防省から提出された資料によると、国防省は当時、非常戒厳令に投入された約1500人の兵士のうち、希望者に限定して心理検査を実施。その結果、1051人が受検した。検査を受けなかった兵士の多くは「身元が明らかになること」を懸念したとされ、心理的ストレスを抱える兵士の実数はさらに多いと見られている。国防省は兵士らの心理的負担を考慮し、検査対象を希望者に限定したという。

この心理検査は国家トラウマセンターが開発したメンタルヘルス評価ツールを用いており、外傷後ストレス(PTSD)や不安、うつなどを評価。結果に基づいて「高リスク群」「関心群」「正常群」に分類される。通常の定期検診とは異なり、今回の検査は非常戒厳出動による精神的影響に特化した。

高リスク群は5つの評価指標のうち3つ以上が「臨床レベル」か、または自殺リスクを評価する「P4指標」が臨床レベルに該当する者。関心群は指標の1つでも臨床レベルに達する場合であり、両群とも専門家の持続的な支援が必要とされる。

国防省は昨年12月17日の段階で「リスク群に該当する者はいない」と発表していたが、その後もストレス症状を訴える兵士が続出し、政治圏などから正式な検査の必要性が指摘されていた。

現在、国防省は希望者に対し心理教育やカウンセリング、診療への連携を実施。身元が明かされることを懸念する兵士には、民間の心理支援プログラム(EAP)を紹介している。

国家人権委員会の軍人権保護委員会は、今回の結果を踏まえて「“道徳的損傷”によるPTSDの可能性があり、兵士の健康権が脅かされた可能性がある」とし、国防省の対応状況を確認して改善策を模索、再発防止策のための現場調査に乗り出すとした。

チュ・ミエ議員は「違法な命令により出動した兵士たちが精神的トラウマを抱えているのであれば、国家が最後まで責任を取らなければならない。国防省は兵士の実質的な回復と癒やしに向け、積極的に支援すべきだ」と強調した。

(c)news1

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