韓国で2023年、各地の障害者権益擁護機関に寄せられた障害者虐待に関する通報件数は前年より10.9%増加し、計5479件に上ったことが保健福祉省が発行した「2023年障害者虐待状況報告書」でわかった。このうち、虐待の疑いがあるとされた事例は2969件で、前年に比べ12.4%増加している。
韓国では近年、通報件数は増加の傾向にあり、政府と関係団体は社会全体の虐待に対する意識が高まっていることが背景にあると見ている。障害者当事者による通報も増加しており、2018年には194件だったが、2023年には530件と173%の増加を見せた。障害者の支援団体である障害人権擁護団体のキム・ソンヨン事務局長は「地域社会と障害者がより繋がりを持つようになり、虐待を訴える認識が高まった」と述べている。
また、現行の障害者福祉法では、障害者と密接な関係にある「通報義務者」に対し、虐待防止および通報義務に関する教育を義務付けている。通報義務を怠った場合、罰金が科される場合もあり、社会福祉施設職員、障害者支援スタッフ、医療関係者、保育スタッフなども対象とされている。
近年、YouTubeなどのオンラインコンテンツを利用した新たな虐待形態も急増しており、知的障害者に対する悪質な行為が問題視されている。同省は「オンライン上での虐待拡散を防止するためのモニタリングを強化しているが、ネットのスピードの速さと年齢制限のない環境が難点」と指摘する。
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