
韓国の大手食品メーカー農心が展開する「辛ラーメン」が、日本で定着して熱狂的な人気を集めている。2025年は創立60周年、辛ラーメンの日本発売40周年を迎える節目。東京・原宿や銀座、中目黒など各地で「Kフード」の象徴として存在感を増している。
原宿竹下通りにある「辛ラーメン粉食」は、観光地でブランドを広めるために設けられた体験型店舗で、アジア初出店かつ世界2号店。来店客は1日平均150袋のラーメンを購入し、即席調理器でその場で味わう。キムパプや韓国飲料と組み合わせた光景は本場の粉食店を思わせる。
日本市場では従来、みそ・しょうゆ・塩・とんこつ味が主流で、辛いラーメンはほとんどなかった。農心はこの隙間に参入し「辛いラーメン市場」を切り開いた。現在、辛ラーメンは日本の即席麺市場全体(約7000億円)の6%を占め、辛いラーメン市場(420億円)の3~4割を握るトップブランドとなった。昨年の辛ラーメン売り上げは135億円に達し、袋麺・カップ麺を合わせた総合ランキングでも9位に入った。
外食分野でも進出は広がる。大手外食フランチャイズ「スカイラーク」傘下のしゃぶしゃぶチェーン「しゃぶ葉」では、セットメニューに辛ラーメンを加え、全国390店舗で提供。7月から2カ月間で18万袋を納品した。韓国屋台を再現した中目黒の居酒屋「イヨサンソウル」でも、即席調理器で辛ラーメンや「ノグリ」「チャパゲティ」などを注文でき、月300袋以上が売れるという。
日清食品も類似商品を投入するなど競争が激化しているが、農心は「辛ラーメンキムチ」や「辛ラーメントゥンバ」など辛さを抑えた商品を拡充し、新規客層を取り込みつつ本家「オリジナル」へ誘導する戦略を展開している。
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