「詐欺に遭うのではないかと思い、専用口座も別に作りました」
韓国の大学生、キムさん(23)は最近、インターネット専門銀行で、中古取引用の口座を一つ開設した。中古取引をする際、詐欺被害の危険が少ないという話をSNSで見たためだ。この銀行のアプリに相手の口座情報を入力すれば、その相手が詐欺申告された前歴があるかどうかの通知が出る。また、この銀行で取引すれば、詐欺で損失金が出た場合、一部補償される場合もあるという。
◇中古取引前のSNS検索「必須」
最近、若者層を中心に多様なアプリ上で、中古取引が盛んになり、詐欺の危険を避けるための方法を共有するSNSが人気を集めている。単に、金融詐欺防止サービスや捜査機関に通報するよう勧めるだけでなく、実際に起きた被害事例をもとに犯行の手口を知らせ、事件になった時の対処法まで共有している。
会社員のユンさん(28)は、詐欺被害のための保険を調べたり、ジムやピラティス塾の登録前に、SNSなどで問題業者でないか調べたりしている。最近、ニュースなどで似たような詐欺被害が相次ぎ、自分もそのターゲットになるのではという不安からだ。
「最近、あまりにも新種の詐欺が多いので、何か新しいことをする際にはSNSで被害事例があるかどうかを調べるのが習慣になった」。ユンさんはこう吐露した。
大学生のチェさん(21)は、好きな芸能人が写った「フォトカード」などをオンラインで購入する。その際、まずSNSを活用する。人気のある「ミゴンカ」(未公開フォトカード)が数十万ウォン(1ウォン=約0.11円)で取り引きされる。適切な相場を調べて、販売者の詐欺履歴などがないかを確認するためだ。
◇「20代」容疑者・被害者ともに多く
詐欺犯罪の容疑者・被害者の年代は、どんどん下がっている。
最高検察庁によると、2018年の20代詐欺容疑者は、2018年の時点で19.0%と、40代(25.3%)、50代(24.6%)の次に多かった。しかし、2021年には27.2%に、2022年には26.9%になり、全年代で最も高くなった。
被害者を年代別でみても、2020年には20代の被害者(20.6%)が、40代(20.2%)、50代(20.5%)と同水準になった。2022年には22%になり、全体で最も高くなった。
詐欺が絶えないのは、処罰が弱いからという指摘がある。詐欺罪の場合、最高で懲役15年だが、実際には執行猶予や罰金刑にとどまる場合が多い。
また、暗号資産(仮想通貨)など新たな犯罪類型ゆえに具体的な処罰規定がない▽初犯などで情状酌量が適用されて処罰が難しい――という課題もある。特定経済犯罪加重処罰法上で、詐欺罪も適用できるが、1人当たりの被害額が5億ウォンを超えないとと適用されない。
公的救済手段が不備なこともあり、金融業界が実施する補償制度を活用する人も増えている。オンライン銀行のトスバンクは、中古物品の不正送金などで金融詐欺に遭った人に対し、1回限定で最大50万ウォンまで補償している。制度を新設した2022年には申告件数が1047件だったが、今年は3150件で3倍近くに増えた。
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