
韓国で交際相手による暴力の通報件数が年間10万件を超え、過去最多を更新したにもかかわらず、これを直接規制する法律が整備されていない「立法空白」が続いている。
警察庁によると、2025年の交際暴力に関する110番通報は10万5327件で、前年の8万8394件より19%増加し、過去最多となった。
しかし現行制度では、交際暴力は関係性や行為の内容に応じて刑法や家庭内暴力関連法、ストーカー処罰法などを適用するにとどまり、交際関係に特化した法的枠組みは存在しない。このため、実態に即した対応が難しいとの指摘が出ている。
現在、国会には複数の関連法案が提出されている。交際暴力を包括的に規定し、処罰と被害者保護の手続きを整える「交際暴力処罰特例法案」のほか、ストーカー処罰法に交際暴力の定義や保護措置を盛り込む改正案、婚姻の有無に関係なく親密な関係での暴力を対象に広げる家庭内暴力法改正案などが議論の対象となっている。
ただし、いずれの法案も審議は進んでおらず、常任委員会での検討も終わっていない状況だ。
専門家は、立法の遅れが被害者保護の妨げになっていると指摘する。現行制度では、被害者が処罰を望まない意思を示した場合、捜査機関の介入が制限されるケースもあり、被害者が危険を一人で抱え込む可能性があるという。
また、交際関係における暴力は軽微に見えても同一人物に対して繰り返される恐れがあり、接近禁止などの暫定措置を迅速に適用できる制度整備が必要だとの声も上がっている。
通報件数の急増に対し、制度整備が追いついていない現状が浮き彫りとなっており、実効性ある法整備の必要性が一層高まっている。
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