
韓国の1人当たり国内総生産(GDP)が22年ぶりに台湾に追い抜かれる見通しとなった。韓国が2003年以来維持してきた優位が崩れる背景には、半導体を軸にした台湾の長年の産業戦略と、韓国の景気低迷・政策不透明性が対照をなしている。
企画財政省と台湾統計庁によると、2025年の韓国の1人当たりGDPは3万7430ドルと予想される。一方、台湾は3万8066ドルに達する見込みで、韓国を初めて上回ることになる。2018年には両国の差が1万ドル近くに広がったが、その後、韓国の成長鈍化と台湾の急伸で格差は急速に縮小。昨年には両国の差はわずか1600ドルにまで縮まっていた。
台湾の実質GDPは2025年第2四半期に前年同期比8.01%増を記録し、統計庁は年間成長率を3.10%から4.45%に上方修正した。背景には生成AIブームによる「AI半導体特需」がある。世界最大のファウンドリである台湾積体電路製造(TSMC)を中心に輸出が急伸し、通信機器・電子製品や民間消費の回復も成長を後押しした。
これに対し、韓国は第2四半期の実質GDPが0.6%増にとどまり、米国のトランプ政権による関税引き上げ懸念、建設投資縮小、雇用不安などが成長の足かせとなった。
専門家は、韓国がAI半導体を中心とした新分野で遅れれば、台湾との差がさらに広がると警告する。祥明大学のイ・ジョンファン教授は「台湾は1980年代から半導体を戦略産業に位置づけ、税制優遇、研究開発投資、人材育成を徹底してきた。日本や米国との供給網連携も功を奏した」と指摘する一方、「韓国は医大志向で優秀人材が流出し、半導体分野の人材供給が脆弱だ」と懸念を示した。
台湾は来年に1人当たりGDPが4万ドルを突破すると見込まれるのに対し、韓国は3万8947ドルにとどまる予測だ。イ・ジョンファン教授は「半導体は今や国家間の戦争であり、政府の役割が一段と大きい。電力や工業用水などインフラを先手確保し、AI半導体投資を戦略的に強化しなければならない」と強調した。
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