
韓国の最低賃金委員会は2026年度の最低賃金を現在の時給1万30ウォン(約1071円)から2.9%(290ウォン=約31円)引き上げ、1万320ウォン(約1102円)にすることを決めた。月給換算では215万6880ウォン(約23万49円)となり、前年から6万610ウォン(約6475円)の増加。労使の合意によって決定されたのは2008年以来17年ぶり。
今回の決定は、韓国労働組合総連盟の労働者委員と経営側委員が、公益委員の示した「審議促進区間」の中間値で折り合ったもの。ただし、全国民主労働組合総連盟の委員は合意に反発し、最終決定には参加しなかった。
当初、労働界は1万430ウォン(約1115円)、経営界は1万230ウォン(約1103円)を主張していたが、交渉が難航。公益委員が妥協案として審議促進区間を提示し、最終的に中間値で合意した。審議促進区間は法的根拠を持たないが、交渉の打開策として定着している。
最低賃金の業種別適用や、プラットフォーム・請負労働者への新たな基準など、未解決の課題も多い。経営界は飲食業やタクシー業などへの区分適用を求めるが、労働界は反対姿勢を崩していない。
また、制度そのものの見直しも課題となっている。高麗大学のキム・ソンヒ教授は「公益委員の提案は政府の意向が反映されやすく、制度の再検討が必要」と指摘した。
この決定は雇用労働相に提出され、8月5日までに告示される。
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