2025 年 6月 27日 (金)
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韓国、官民一体で量子産業化に本格着手

「クォンタムコリア2025」のKTブース(c)news1

韓国政府が「量子産業化元年」を宣言し、官民が一体となって量子技術の産業応用に向けた本格的な取り組みを開始した。ソウル市瑞草区のaTセンターでは24日、科学技術情報通信省主催の展示会「クォンタム(quantum)コリア2025」が開催され、国内外の企業・研究機関、学術関係者ら300人以上が参加した。

米国の大手IT企業IBMは「クォンタムシステム(Quantum System)」シリーズを展示し、東アジア市場の攻略に意欲を示した。IBMは2029年までにエラーのない商用量子チップを開発すると明言している。

一方、韓国国内では、量子計算機本体の開発は依然として国策研究機関による実験室レベルに留まり、量子通信や暗号など周辺技術の開発が中心となっている。韓国標準研究院は来年、50キュービット規模の超伝導量子計算機のデモンストレーションを予定しており、研究員は「人材と安定した予算支援があれば、韓国にも十分にチャンスがある」と述べた。

国内通信大手3社もそれぞれ独自の量子暗号技術を披露した。LGユープラスは2020年、国内初となる耐量子暗号(PQC)を適用した専用回線を商用化し、現在は産業用USIMカードや定額制のセキュリティソリューション「Alpha Key」などの製品に展開している。

SKテレコムはドローンや監視カメラにも対応可能な無線チップ技術を紹介し、KTは量子鍵配送(QKD)やPQC技術を搭載した通信装置を展示した。企業各社は、2035年には量子計算機が既存の暗号技術を無力化すると予想し、その防御技術としての需要を見込んでいる。

ユ・サンイム(劉相任)科学技術情報通信相は会場で「戦略技術である量子の商用化が急がれる」と述べ、今後の継続的な政策支援の必要性を強調した。

韓国政府は今後4年間を量子産業競争力の分岐点と位置づけ、約1万人の専門人材育成や3兆ウォン規模の国家戦略推進を目指している。

(c)news1

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