
飲料に違法薬物を混入する麻薬犯罪に対処するため、韓国でγ-ヒドロキシ酪酸(GHB)を従来の1000分の1レベルでも検出できる新たな試験法の開発が始まった。検出精度の大幅な向上により、これまで困難だった事後追跡も最大6カ月後まで可能となりそうだ。
食品医薬品安全処は2027年までに、GHBを0.01ppm(1000万分の1)という超低濃度で検出できる世界最高水準の検査法を完成させる。これにより、現在の国立科学捜査研究院(国科捜)の検出限界である100ppmに比べ、1000倍の精度向上を目指す。毛髪からの検出についても、現行の1ppmから0.01ppmへの高感度化を図るという。
GHBは向精神薬に分類され、飲料に数滴混入するだけで10〜15分以内に呼吸困難、頭痛、めまい、興奮などの作用が現れ、3〜4時間持続する。過剰摂取すれば昏睡やけいれんを引き起こす可能性がある。だが、体内での代謝が非常に早く、血中では30分、尿では1時間以内に最高濃度となり、12時間以内に排出されるため、検出が困難とされてきた。
さらに、GHBは体内で自然発生する微量成分とも重なるため、尿中での検出値だけでは投薬によるものかの区別がつきにくい。加えて、尿中に排出される割合は2%未満と少なく、被害者が意識を失っている間に採取することも難しい。このような点が、現在の検出方法の限界とされていた。
こうした課題に対応するため、食品医薬品安全処はGHBの前駆体であるGBL(指定薬物第1群)および1,4-ブタンジオールなど3成分に加え、体内代謝によって生成される代謝物の検出も視野に入れた新たな分析法の開発に着手した。毛髪についても代謝物を含む微量分析を可能にする技術開発を進める。
カン・ベクウォン麻薬安全企画官は「世界最高の試験法を確立し、国連薬物犯罪事務所(UNODC)に提案して国際標準とすることを目指す」と述べた。
また、成均館大学ナノ工学科のクォン・オソク副教授が開発した「GHB検出用携帯キット」も注目されている。これは飲料に混入されたGHBを迅速に検出する簡易ツールで、性犯罪が疑われる通報現場などで初期判断用として活用される。
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