自動車といえば、当然エンジンで動くもの――。そう考えられていた時代はもう終わった。EVの登場と急速な拡散により、その対称的な存在として「内燃機関車」という言葉がよく聞かれるようになった。電気自動車(EV)は、内燃機関車のようなエンジンは存在しない。
エンジンの代わりにモーターと、重いバッテリーが定着し、車体はさらに強くする必要がある。タイヤもより重い重さに耐えるように別途開発される。熱いエンジンに外の空気を通わせる「グリル」が必要なくなったのも大きな変化だ。
車両の「熱」を管理するシステムも変化した。内燃機関車では、エンジン自体が「熱を供給する熱源」として機能し、車両暖房などに簡単に活用することもできた。熱くなりすぎたエンジンを冷やしたり、冷房のためのエアコンに動かしたりすることが、内燃機関車での熱管理の目的だった。
一方、エンジンのないEVは、必要な熱を別途に作らなければならない。温度変化に敏感なバッテリーが多様な環境で性能を発揮するように適切な温度を維持することも重要だ。冷却水の運用体系も根本的に再設計しなければならない。内燃機関車に比べ、EVは部品が単純になった一方、熱管理システムだけは複雑になった。
◇グループでの相乗効果
自動車部品メーカーは、EVの核心技術として「熱管理システム」に力を入れている。現代自動車グループの部品系列会社で、主に自動車駆動部品や工作機械などを製造する「現代ウィア(WIA)」もその一つだ。
現代ウィアが熱管理分野に参入したのは2018年で、業界内では出遅れていた。日本のデンソー(30%)や韓国の「ハンオンシステム(Hanon Systems)」(17%)、フランスの「ヴァレオ(Valeo)」(12%)など、世界各国の部品メーカーが既に確固としたシェアを占めていた。
それでも現代自動車・起亜自動車との緊密な協力など、グループでの相乗効果と、これまで築いてきた部品技術力を基に、徐々にEV部品市場での立地を固めた。
現代ウィア熱管理分野のキム・ナムヨン常務は「電動化は必然の変化であり、EVに必要な統合熱管理システム市場は次第に拡大するはずだ」と見込んだうえ、「後発ランナーではあるが、現代自動車・起亜自動車との協力などを基に早期に優位を占めるだろう」と述べた。
◇海外完成車メーカー対象に受注活動
今年上半期に冷却水関連部品と機能を統合した「冷却水ハブモジュール」の開発を終え、今年5月に量産を開始した。韓国の自動車部品メーカーの中では初めての量産だ。
このモジュールはEVバッテリーと駆動装置(モーター)、電子装備部品から発生する熱を適切かつ効率的に管理できるように支援する部品だ。冷却水を保管して補充するリザーバータンクと電気式ウォーターポンプ、バルブ機能を統合した。現代自動車のコナEVと起亜EV9などに搭載された。
このような冷却水ハブモジュールを基盤にモーターとバッテリー、室内空調など、車内のすべての熱を管理する統合システムに進まなければならない。2025年にバッテリーを冷却する冷却水・冷媒モジュールと冷媒を高温・高圧に圧縮するeコンプレッサ、これを管制する熱管理制御器を合わせた「統合熱管理システム」の開発を目標としている。
現代ウィアは、独自開発した冷却水モジュール技術を用いて、海外完成車メーカーを対象に積極的な受注活動を進めている。2025年までに統合熱管理システムが開発されれば、海外市場への進出にも一層弾みがつくものとみられる。
キム常務は「グローバル完成車メーカーの受注を増やし、2030年以降は統合熱管理システムのファーストムーバーとして位置づけられるだろう」と語った。
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