現場ルポ
NFT発行には一つ当たり1分ほどかかり、ホームページの全体リストに他のNFTとともに展示された。デジタル絵やペットの猫を被写体にした映像など、さまざまなNFTが目につく。昨年5月のサービス発売後、連日午後5時までの間に発行されたNFTの数は、計11万5838。既に多くの人々がNFT発行、所有者になっているのだ。
発行オプションの中には「プロパティ」「レベル」「状態」の3つがある。それぞれNFTの属性と希少性、発行順を意味する。これらはクラファースペースと連動する世界最大のNFT取引所「オープンシー」(Open Sea)でも確認できる。
販売したい場合、オープンシーに接続する必要がある。ホームページの右上のプロフィールをクリックすると、接続可能な仮想通貨ウォレットのリストが出てきた。このうちカイカスを選択すると、「サービス接続要請」の案内ウィンドウが表示され、接続を押してクラファースペースに発行したNFTを連動させる。連動したNFTリストに入り、「販売」(Sell)をクリックすると、発行量や販売期間などを設定できた。こうした発行されたNFTはオープンシーのホームページで取引される。オープンシーで独自にNFTを作ってすぐに販売することも可能だ。
◇「超簡単」NFTミンティング…無法地帯の弱点も
このようにNFTは簡単に作ることができる。ゆえに弱点も露呈している。無分別な発行で著作権が侵害され、NFT価値に打撃を与えかねないからだ。
実際、昨年8月、素性不明の芸術家バンクシー(Banksy)を詐称した偽NFT作品が24万4000ポンドで取引された。販売者は手数料名目の5000ポンドを除いた金額が返還されたものの、NFTの無分別な発行と流通の弱点が露呈した事例だった。
これに対し、NFT生態系が安定的に拡張するためには、制度的な補完が必要だという指摘が出ている。
ある業界関係者は「他人の著作権を侵害し、NFTを無分別に発行する事例が多いのは、これを管理するシステムに不備があるため。政府レベルで著作権を保護できるガイドラインを提示する必要がある」と話した。
ブロックチェーンのエヴァンジェリスト(最新技術をわかりやすく伝える専門職)のチェ・ファイン氏は「NFT発行は非常に簡単な半面、NFTの制度的インフラと技術的システムが整っていない。著作者に内緒でNFTを製造して売ったり、コピーが出回ったりしやすい構造だ。消費者は、自身が購入したNFTと連携する基礎資産の法的権利をすべて持つと考えているが、実際はそうでない」と指摘した。
さらに「最近、不動産NFTが話題になっているが、ブロックチェーンの中にあるNFTの特性上、その中で所有権変更があっても、実際に外部登記所の所有権まで一緒に変わるわけではない。ネットワークと外部情報がほぼ同時に連動するシステムが形成されてこそ、NFTが引き続き資産性を維持できるのだ」と指摘している。
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