配達アプリで注文した料理が到着し、スマートフォンの通知を確認して玄関を開けると、ヘルメットを被った配達ライダーではなく、大きな目をした可愛らしい自律走行ロボット「ニュービー」が料理を抱えて待っている――このような光景が、すでに現実のものとなっている。
ロボット時代は試験段階を越え、実用化が進んでいる。店舗内でのサービングを超え、料理の配達や住居地域での巡回など、私たちの生活に深く入り込むようになった。
韓国の配達プラットフォーム大手「ヨギヨ」が最近、仁川で「ロボット配達サービス」を開始した。試験運用ではなく、配達アプリ業界でロボット配達サービスを展開するのは、韓国ではヨギヨが初めてだ。
配達ロボットを開発したのは、創業8年目のスタートアップ企業「ニュービーリティ(NEUBILITY)」。同社はカメラを基盤とした自律走行ロボットのハードウェアとソフトウェアを独自に開発している。
「ニュービー」は複数のカメラを活用したロボットで、AI(人工知能)による物体認識技術やレーダー、ステレオカメラを使用し、障害物を認識して回避する機能を備えている。今年6月からヨギヨと共同で実証試験を進め、9月からは本格的にマンション団地や大学周辺、大型オフィス街などでロボット配達を開始した。
現在、ロボット配達は短距離の配達に利用されている。ヨギヨのロボット配達では、注文を受けた店舗から半径1.2km以内の距離の注文に対し、1件ずつ配達する仕組みだ。
「ニュービー」の定時到着率は非常に高い。人間の配達員と同様に、注文から配達完了まで40分以内に収める「サービスレベル契約(SLA)」が適用され、ニュービーのSLA順守率はここ1カ月間で98%を記録している。さらに最近の2~3週間では100%を達成しているという。
ニュービーの活躍は配達に留まらない。人間が難しい24時間巡回作業もロボットが代行する。ニュービーリティは、セキュリティ企業「SKシールダース」や建物管理企業「KBアジュ」と提携し、共同住宅用自律走行巡回ロボットの商業化を進めている。
この巡回ロボットは、自律走行機能を活用し、深夜や警備員の休憩時間などに巡回し、セキュリティの隙間を最小限に抑える役割を果たす。さらに、駐車違反やゴミの不法投棄、不法占有物の検出など、住宅地で発生する問題をリアルタイムで感知する機能の開発も進められている。
また、ニュービーリティは米国の統合セキュリティ企業「SFSグループ」と契約を結び、マイアミにある1700世帯規模の住宅団地に巡回ロボットを配置し、事業の実証試験を実施した。これにより、グローバル市場でもロボット需要が高まっていることが確認されている。
ニュービーリティのイ・サンミン代表は「AIロボット市場は、まだ赤ちゃんが歩き始めた段階」と述べ、将来的には産業用物流ロボットやヒューマノイドロボット、防衛用ロボットなど、さらなる事業拡大を目指していると語った。
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