2024 年 12月 21日 (土)
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迫る韓国環境省の判断、雪岳山ケーブルカー建設問題

韓国・雪岳五色ケーブルカー鳥瞰道(c)NEWSIS

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の選挙公約である雪岳山(ソラクサン)国立公園の五色(オセク)ケーブルカー建設を巡る環境省の決定期日が迫っている。野生動物など環境への悪影響を憂慮する声が上がるなか、環境省がどのような判断を下すか関心が集まっている。

環境省などによると、原州地方環境庁は襄陽(ヤンヤン)郡が昨年12月28日に提出した雪岳山五色ケーブルカー環境影響評価書(再補完)に対する総合意見を、関連法の規定で遅くとも3月中に明らかにしなければならない。

この事業は江原道の宿願ともいえる事業で、五色薬水場から端清までの3.5km区間をゴンドラで連結する計画だ。2015年9月に環境省国立公園委員会で条件付き承認を受けた。

原州地方環境庁が2019年、生態系の保全を理由に不同意の決定を下したが、襄陽郡が請求した行政審判で中央行政審判委員会が主張を認め、事業が再開された。今回提出された評価書は2021年4月、原州地方環境庁の再補完要求に従ったものだ。

◇環境団体「政治的判断」に憂慮

環境省は苦心を続けている。専門機関の意見を最大限反映するとしているが、中央行政審判委員会は行政審判で立地妥当性検討は完了したという判断を示しており、考慮すべき点は多々ある。

ハン・ファジン(韓和真)環境相は21日、国会環境労働委員会全体会議で「立地の面で不適切だという意見を提示したと理解している。立地妥当性の有無を再び判断するのはおかしい気がする」と答弁した。

環境団体などは、専門機関が立地妥当性を検討したのではなく、2015年に国立公園委員会が承認し、提示した条件などを検討したものだと反論。専門機関が検討した結果▽野生ヤギへの影響の追加調査や絶滅危惧種保護対策の策定▽施設安全対策の補完▽上部停留場周辺の植物保護対策の推進――などを満足させることはできないと主張している。

環境団体は環境省が「政治的判断」を下すことを憂慮している。「不同意」の結論が適当だが、大統領が事業に意欲を示しただけに「条件付き同意」等の形で事業に道を開くのではないかとの懸念だ。この場合、他の地域でもケーブルカー設置の声が高まると見られる。

これと関連して環境運動連合は声明文で「政治的な計算が必要ない状況だ。環境省の不同意の決定を強く促す」と述べた。

環境省が可否を判断せずに追加補完を要求する可能性もある。いずれにせよ事業を巡っては賛否が割れているだけに、環境省がどんな結論を下しても論議は続くと見られる。

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