
かつてはマニア向けの嗜好品と見なされていた「激辛」食品が、韓国食品業界の核心戦略に浮上している。三養(サンヤム)食品の激辛炒め麺「ブルダックポックンミョン」が世界的な人気を獲得したことで、主要企業が次々と激辛製品を打ち出すなど関連市場の拡大が加速している。
業界によると、オットゥギは新たなラーメンブランド「WOW」シリーズの第1弾として「コギ・ヨルラーミョン」(肉入り熱ラーメン)を発売した。既存の「ヨルラーミョン」よりも強い辛さと具材の豊富さをコンセプトにした商品で大きめの具材を加えたのが特徴だ。
先月には辛さを示す単位スコビル値6000という「ラーメンのメプソディ」も発売。これはヨルラーミョン(5000)や三養食品のブルダックポックンミョン(4400)を上回る辛さで、激辛志向の消費者層を狙った。
また、CJ第一製糖も最近、一般的なキムチの32倍の辛さを誇る「シルビキムチ」シリーズの「スプキムチ」で本格的に激辛市場へ参入。オンラインで口コミが広がったこの商品は発売1カ月で2万個以上を売り上げるなど、マニア層から高い支持を得ている。
こうした辛味ブームの背景には、激辛が大衆の味になり得るという事実が証明された点がある。その象徴が2012年に登場した「ブルダックポックンミョン」。先に海外で人気に火がつき、YouTubeやTikTokを通じた「チャレンジ動画」で拡散、世界的な認知度を獲得した。
このヒットを受け、三養食品は2024年に売り上げ1兆7300億ウォン(約1843億円)を達成し、前年比45%もの成長を遂げた。輸出戦略においても強力な武器となっており、特に北米・東南アジア市場では「韓国式の辛さ」が独自のスパイスとして評価され、ラーメンや調味料の需要が高まっている。
一方で、「激辛」の過剰な商業化が消費者の疲弊を招くという懸念も根強い。胃腸への負担、小児や高齢層の忌避、健康志向トレンドとのかい離など解決すべき課題も多い。
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