2024 年 10月 18日 (金)
ホーム特集KW レポート輸血量は適切に管理されているのか 「血液が足りない」韓国の叫び (6)

輸血量は適切に管理されているのか [KWレポート] 「血液が足りない」韓国の叫び (6)

(c)MONEYTODAY

韓国の医療現場で使われる血液を管理するという試みが、これまでなかったわけではない。

手術時にどれだけ血液が使われるのか▽輸血を避けるための事前措置は取られたのか▽不適切な輸血慣行はないか――などを評価・監視するいわゆる「患者血液管理」(Patient Blood Management・PBM)の概念が導入されたのが2019年だ。血液管理法の改正で医療機関に「輸血管理委員会」の設置が義務付けられてからだ。韓国だけが導入した概念ではない。PBMは世界保健機関(WHO)などで2010年から世界的に推奨している。

しかし、導入後4年が過ぎた今まで、医療現場ではPBM概念が十分に理解されていないというのが、保健医療界の見方だ。まず、PBM概念を反映した手術室輸血ガイドラインが作成されていない。一部の病院は、手術中の輸血量を適切にチェックしておらず、どこで、どれだけ血液が使用されたのかもわからないという話もある。

大韓患者血液管理学会のキム・テヨプ会長(建国大学病院麻酔痛症医学科教授)は「ヘモグロビンの数値が15で正常だとすると、韓国は10で輸血するが、米国は7になってから輸血する。韓国のガイドラインではPBMがあまり反映されておらず、使用量が多い」と述べた。

米国だけでなくオーストラリアとカナダなどもこのガイドラインは7以下だ。

◇求められる「細分化された国内資料の確保」

管理省庁である保健福祉省がPBM概念を熟知していないという指摘もある。

キム会長は「輸血管理委員会を作って医療スタッフを教育し、PBM概念が医療現場に浸透するようにすれば、保健福祉省の計画は機能する」と指摘する。だが、キム会長は「輸血管理委員会は過去の輸血委員会のように、血液の廃棄率と安全で安定的な血液供給だけにしか目を向けていない」と述べた。患者の血液管理の概念とは無関係な仕事をしているという。

保健医療界では、医療現場にPBM概念さえ定着しさえすれば、輸血量の管理が可能だという考え方がある。PBMを通じた輸血管理の代表的な成功国がオーストラリアだ。オーストラリアはPBM概念の導入で、人口1000人当たり赤血球製剤の使用量を2008年の31.8ユニットから2013年は21.5ユニットに減らした。政府主導でPBM推進委員会を構成し、ガイドラインを設け、血液安全監視システムを運用したことが成功要因に挙げられる。

キム会長は「まだ我が国にPBMが定着していないということは『適正化』されていないということだ。医療スタッフもPBMが何なのか、まだよくわかっていない。政府が膝関節手術率以外のもう少し細分化された国内資料を確保し、教育に使うべきだ」と指摘する。

(つづく)

(c)MONEYTODAY

RELATED ARTICLES

Most Popular