韓国・現代自動車が「輸入車の墓場」と称される日本市場で再起を図る。日本市場の嗜好に合わせた小型電気自動車(EV)「キャスパー・エレクトリック」を投入し、販売戦略を強化する。
現代自動車の日本法人「現代モビリティジャパン」は6日、ポルシェジャパン元社長の七五三木(しめぎ)敏幸氏を新たな代表取締役として迎えた。七五三木氏はメルセデス・ベンツ・ジャパンを手始めに、クライスラージャパンやポルシェジャパンの代表を歴任した輸入車業界のベテランだ。
現代自動車は2022年、13年ぶりに日本市場へ再参入し、内燃機関車ではなく、ゼロエミッション車(ZEV)のみを販売する戦略を採用した。しかし、比亜迪(BYD)など中国勢に押され、販売面では苦戦を強いられている。2024年には607台を販売し、前年比24.1%増を記録したものの、BYDの2223台には及ばなかった。
現代自動車は、日本市場での基盤を固めるため、小型で現地ニーズに合致した「キャスパー・エレクトリック」を発表した。10~12日に千葉・幕張メッセで開催の「2025東京オートサロン」で公開した。
キャスパー・エレクトリックは現代自動車で最も小型のEVで、2024年6月の釜山モビリティショーで公開後、韓国国内で先行発売した。発売5カ月で7871台を販売し、人気モデル「アイオニック5」を超える成功を収めた。日本市場向け右ハンドルモデルは2月から生産を開始し、販売価格は250万~350万円程度に設定される。
日本では道路が狭く、車庫証明制度の影響もあり、軽自動車や小型車の需要が高い。軽自動車の市場シェアは35%以上で、キャスパー・エレクトリックはこの需要に応える形で設計されている。競合する日産「サクラ」やBYD「ドルフィン」との対決が注目される。
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