韓国が再び兵役不正疑惑に揺れている。軍隊問題は当事者である20代の青年たちはもちろん、息子を持つ親たちまで敏感に反応せざるを得ない。このため、軍隊関連の特恵や不正事件が発生すると、全国民が憤る。軍隊は大学入試と共に、絶対に触れてはならない全国民の「逆鱗」であるわけだ。兵役不正の実態とその手法を分析してみた。
◇「キャリア維持のために『手術』」
検察が集中的に「兵役逃れ」を捜査するなか、プロサッカー選手のA氏(31)は最近、こんな話を打ち明けた。
「『軟骨除去手術』を受けて軍隊を免除された運動選手を見た。体内軟骨が50%あってこそ、選手生活を続けることができる。なのに、20~30%をさらに除去して兵役を免除された選手がいた」
てんかんを装った兵役逃れをめぐる捜査が医療機関など全方位に拡大するなか、あの手この手の不正の手口が注目されている。目に見えない精神疾患に偽装するケースが増えたが、運動選手の中には依然として、自分の体を酷使してまでキャリア維持のために手術を受ける選手も存在する。
兵務庁の「最近5年間の兵役逃れ摘発現況」によると、兵役を不正に逃れた人員は計321人(昨年11月末現在)に達した。2018年の69人から始まり、2019年75人、2020年69人、2021年60人、2022年48人――だった。過去に比べて数は減っているが、兵役逃れが着実に続いていることを示している。
◇あの手この手の不正
彼らの一部は、兵役逃れのために奇想天外な方法をとった。同じ地域チーム所属のサッカー選手たちは、ダンベルなどを持って手首を回したり過度に曲げたりして故意に手首の軟骨を損傷させた。その後、手術を受け、兵役処分変更願を提出し、現役入営ではない4級(補充役)という判定を引き出した。
A氏は「みな少しでも多く選手生活を継続するためにいろんな方法を探している。競技を通じて経験を積んで成長しなければならない時期であり、兵役は運動選手の妨げになるのは事実だ」と告白した。
今年引退したプロ野球選手のBさん(29)は「懸命に試合に出場しなければならない23歳のとき、現役兵として入隊せざるを得なかった。スポーツ選手は人々に知られているだけに、さらに厳しい状況に置かれているようだ」と吐露した。
Bさんは「国民ならば皆が行く2年の軍隊生活であるが(軍のスポーツ部隊の一つである)尚武(サンム)野球団に入隊できる人は限られている。スポーツ部隊に入れなければ、キャリアがほとんど中断されてしまう。私も2年間はボールを握ったことさえなかった」と説明した。そして「成長のまっただ中に経験を積めなかったのが早期引退の最大の理由だ」と振り返った。
(つづく)
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