北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が、これまで服用してきた薬ではなく、他の薬を海外で探しているという情報が伝えられている。MONEYTODAYの取材によると、キム総書記が探しているという薬は、北朝鮮国内にはない海外の肥満薬である可能性がある。
◇肥満治療
国家情報院は7月29日、国会情報委員会で「(キム総書記が)既存の薬だけでは(病気が)治りにくいと推定される。既存の薬以外の他も探している傾向が見られた」と報告した。国情院は、キム総書記の体重が140㎏に達してBMI(Body Mass Index)が正常基準を大幅に超過した40半ばに達する「超肥満状態」にあり、心臓疾患の高リスク群に含まれると分析している。12~13年前の執権開始当時より50㎏以上、3年前にダイエットした時より20㎏以上増えたということだ。
また国情院は、キム総書記に30代前半から高血圧・糖尿病の症状が現れ、それがさらに悪化したため、従来使っていた薬ではなく、他の薬を探していると推定している。
「他の薬を使わなければならない」というのは医学的にどのような状態を意味するのだろうか。
上級総合病院家庭医学科のある教授は「肥満・高血圧・糖尿病患者が以前より体重が増えたり、これらの疾患により腎臓・肝臓の機能が深刻に低下したり、糖尿病が以前より進行したりしたケースと考えられる。このような場合、既存の薬を増やしたり(増量)、薬を取り換えたりする」と解説する。
一方で、キム総書記が「ウゴービ(Wegovy)」や「サクセンダ(Saxenda)」のような海外の最新の肥満薬を知っている可能性もある。この教授は「キム総書記に高血圧・糖尿病をもたらした原因は肥満だ。肥満手術を受けたり、肥満治療薬を注射して痩せたりすれば、高血圧・糖尿病も同時に改善される可能性がある」と指摘する。これらの最新の肥満治療薬は北朝鮮にはないため、海外から輸入しようと試みる可能性もあるという。
◇睡眠障害
キム総書記の睡眠障害も、肥満を助長するもう一つの要因かもしれない。
国情院によると、キム総書記は深刻な睡眠障害に悩まされている。十分な睡眠が取れないと太りやすい。大韓肥満学会によると、1日6時間も眠れない人は食欲調節ホルモンのバランスが崩れ、カロリー摂取量が多くなり、肥満を引き起こす可能性があるという。
キム総書記は最近、不安・うつ病の症状で、薬物への依存度が高くなったとみられる。薬物の一部が体重増加に寄与した可能性もある。実際、一部の抗精神病薬、三環系抗うつ薬、抗てんかん薬、糖尿病治療薬、ステロイド製剤などは体重増加を引き起こす。血糖降下剤のうち、インスリン、スルホニル尿素薬、チアゾリジン薬も太る可能性がある。
喫煙と過度の飲酒は万病のもとだが、特にキム総書記のように高血圧と超肥満を同時に患っている人にとっては「毒薬」である。直接・間接的に血管を締め付けるからだ。ある上級総合病院の教授は「たばこの中の有害物質が血管を収縮させ、血管内膜を損傷して動脈硬化を誘発する。酒はそれ自体が毒性物質であるうえカロリーが高い。肥満を招き、最終的に血管疾患を引き起こす可能性がある」と指摘する。
国情院によると、キム総書記はマルボロ・ダンヒルなど外国のたばこと高級おつまみを多量に輸入しているという。
◇この2年が「勝負」?
身長170センチ、40歳のキム総書記には、少し歩くだけでも呼吸が荒くなる特徴が見られる。国情院は「現在の健康状態が改善されない場合、家族歴である心血管疾患が出現する可能性があり、ち密に追跡している」という。
キム総書記はナトリウムが多いことで有名なエメンタールチーズを好んで食べているという。このような習慣まで加われば、心脳血管の健康に赤信号が灯ることは間違いない。
高麗大邱老年病院心血管センターのナ・スンウン教授は「キム総書記の心血管疾患の家族歴から考えれば、キム総書記が塩辛くして食べる習慣まで捨てられない場合、心筋梗塞・脳梗塞・脳出血など心脳血管疾患が急に起こるリスクが非常に高い」と警告した。
キム総書記の祖父キム・イルソン(金日成)主席は急性心筋梗塞で、父キム・ジョンイル(金正日)総書記は心筋梗塞および心原性ショックの合併症で死亡した。
昨年6月のMONEYTODAYの報道によると、米国の保険会社「ノースウエスタン・ミューチュアル(Northwestern Mutual)」が使用している寿命予測プログラム「LIFESPAN CALCULATOR」に、国情院が把握したキム総書記の身体情報を入力したところ、キム総書記の期待寿命は「3年」に過ぎなかった。当時から体重が減っていないこと、既存の薬が効かないことなどを踏まえると、期待寿命は「2年」ということになる。
40歳のキム総書記が現在の食習慣と生活習慣を変えなければ、この2年が「勝負」になるということだ。
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