
貧困層の夫婦が子どもを産んだら罪なのか?――最近、インターネットで目にした投稿のタイトルの中で、最も記憶に残った言葉だ。
長い交際を経て結婚した30代の夫婦が、経済的事情から初めから子どもを持つことをあきらめていたものの、最近になって街で見かける子どもたちに目が向くようになったという。だが、それ以上に驚かされたのは、寄せられたコメントの数々だった。
「子どもを英語幼稚園に通わせられないなら産むな」「学習塾、旅行、大学資金、結婚時には家の一軒も用意できないなら、子どもを持つ資格はない」
こんな過激な意見が連なっても、「反対」のボタンを押す者はほとんどいなかった。いつの間にか、「お金がない人は、子どもを持つこと自体が罪」と見なされる空気になってしまったのだろうか。やるせなさが込み上げてくる。
知人の一人は、第二子出産後に2年間の育児休業を終え、経済的理由から復職を決めた。
彼女は言った。「本当は子育ても家事も完璧にできる。でも、お金が必要なの」。復職した今、長子(小学生低学年)は夕方5時まで延長授業を受け、2歳の下の子は保育園で最も遅くまで残る子になってしまった。
別の知人は、大手企業で10年以上勤務した後、退職して専業主婦となった。7年以上「ワーキングママ」として奮闘してきたが、育児と仕事の両立は限界に達していたという。
「家政婦を雇っても長続きせず、辞めては雇いを何度も繰り返した。第一子が小学校に入学するタイミングで、ついに辞表を出した。こうするために、必死に勉強して就職戦争を勝ち抜いたのかと思うと虚しい」
彼女はこう悔しさを語った。
いま、赤ん坊の泣き声が聞こえなくなった社会で、政府は少子化対策としてさまざまな支援政策を繰り出している。たとえば、出産前にはバウチャーで100万ウォン(約10万5600円)、交通費として70万ウォン(約7万3920円)、出産後には産後ケア費用としてさらに100万ウォン(約10万5600円)が支給される。加えて「親給与」として月100万ウォン(約10万5600円)が1年間、次の1年は50万ウォン(約5万2800円)が支給される。
こうした支援策の成果か、今年に入ってソウル市の出生率は5カ月連続で増加し、実に12年ぶりのことだという。
しかしながら、こうした「反発的上昇」は一過性にとどまる可能性が高い。子どもは「親給与」が終了する24カ月以降も成長を続け、必要とするお金も時間も増えていく。実際に復職した知人も、退職した知人も口を揃える。「たった月100万ウォンをもらえるからって、子どもを産む人が果たしてどれだけいるだろうか」
今後の少子化対策に求められるのは、“産ませる”ことにとどまらず、“育てられる”環境づくりだ。「出産奨励政策」から「育児奨励政策」へとパラダイムを転換し、経済的に不利な立場の夫婦であっても、安心して子どもを産み、育てられる社会をつくる必要がある。
お金のために涙をのんで職場に戻った母親。子どもを預ける人手が見つからず、渋々辞表を出した母親。こうした現実に対処することこそ、少子化問題の次なるステップである。【news1 クォン・ヘジョン社会政策部次長】
(c)news1

