
韓国で今年1月に発生したソウル西部地裁乱入事件で、警察官に暴行を加えた被告への1審判決が執行猶予付きにとどまったことに対し、警察内部から「気力がなえる判決だ」との批判が高まっている。
ソウル西部地裁は今月15日、警官への暴行罪に問われた2被告にそれぞれ懲役1年6月・執行猶予3年、罰金20万ウォン(約2万円)と懲役1年・執行猶予2年を言い渡した。地裁は「公務執行妨害は国家機能を揺るがし、公務員の身体の安全を脅かす重大な犯罪」としつつも「暴行の程度が比較的軽微だった」と判断した。
一方、MBCの取材班を暴行した被告には懲役10月、裁判所構内に侵入した被告にも懲役10月が言い渡された。14日の判決でも、特別建造物侵入などの罪で起訴された2被告にそれぞれ懲役1年6月と1年の実刑が出ている。
現行法では、公務執行妨害罪の法定刑が建造物侵入罪より重い(5年以下の懲役または罰金1000万ウォン=約100万円)。しかし、今回のように「特別」がつくことで逆転現象が生じ、警察関係者からは「肩透かしのような結果だ」との失望の声が漏れている。
ソウル市内の交番勤務の警察官は「警察官を殴っても軽く済むと思われたら公権力が軽視される」と訴え、首都圏で勤務する巡査も「また似たようなことが起きるだろうと思ってしまう。いつ暴力の対象になるかわからず、怖い気持ちもある」と本音を漏らした。
専門家は一貫した判断基準が必要だと指摘。クァク・デギョン東国(トングク)大学警察司法学部教授は「警察は社会秩序と安全の最前線に立つ存在であり、その権威を軽んじるべきではない」と強調する。
また、イ・ゴンス白石(ペクソク)大学警察学部教授も「公務執行妨害の量刑は以前から問題視されてきた。法的な予見可能性と信頼性を確保するためにも一貫性ある判決が求められる」と述べた。
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