
韓国京畿道漣川郡(キョンギド・ヨンチョングン)が、郡の鳥で天然記念物のツルの越冬を紹介する目的で、民間人出入統制線(民統線)内の区域を24時間生中継している。しかし、実際の視聴者数はほぼゼロに等しく、事実上、広報としての機能を失っていることが分かった。ショート動画全盛の時代に逆行する手法だとの批判も強い。
郡によると、2024年から公式YouTube(ユーチューブ)や独自の「漣川キューブチャンネル」で、毎冬、漣川郡中面(チュンミョン)の民統線内にある氷崖付近を訪れるツルの群れの様子を生配信してきた。ツルは韓国の天然記念物で絶滅危惧種1級、平和と長寿の象徴として接境地域(北朝鮮との国境に近い地域)である漣川の郡鳥に指定されている。
氷崖付近は毎年、数百羽のツルやマナヅルが3月まで滞在する越冬地で、軍事境界線から約3キロの位置にあり、民間人の立ち入りは厳しく制限されている。郡はこの生中継を通じ、ツルの観光資源化や「ユネスコ(UNESCO)二冠王・漣川」のブランド構築につなげたい考えを示してきた。
だが実態は厳しい。数日間の取材確認では、同時視聴者がゼロ、もしくは1人という時間帯が頻発し、多くても4人を超えなかった。漣川郡広報担当部署の関係者も「多くて10人程度」と認める。郡公式サイトのトップには「ツルをリアルタイムで見る YouTube24時間生中継」とのポップアップまで掲示されているが、反応は乏しい。
昨年配信された関連動画の総再生数も、少ないものは40回余り、多くても400回台にとどまる。内容は実質的に固定カメラ映像に近く、ツルが現れない時間帯は風景だけが流れる。10~20秒のショート動画が主流となった現在の視聴習慣と乖離しているとの指摘が相次ぐ。
地元住民は「そもそも生中継の存在を知らない人が大半だろう。ツルを広めたいなら、見どころを切り取った企画の方が効果的だ」と話す。別の市民も「物語性や字幕を加えても競争が激しい市場だ。単なる生中継で誰が見るのか。誰のための配信なのか」と疑問を投げかけた。
これに対し、漣川郡の関係者は「素材として試行的な側面があり、悩みはある」としつつ、「郡の象徴であるツルの“加工しない自然の姿”を届けたい。自然を愛する人に見てもらえればありがたい」と説明している。
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