
認知症だった父親が死ぬ前に長男へ譲った一戸建ては相続財産に含まれるのか――。ソウルの放送局YTNラジオの番組「チョ・インソプ弁護士の相談所」にこんな相談が寄せられた。
相談したのは3きょうだいの長女。中学校教員だった父は所有地が開発地域に指定されたことで思わぬ財産を得た。父はその金でソウル市松坡区(ソンパグ)に大きな一戸建てを購入した。
長女と次女はともに結婚したが、長男である兄は就職しても長続きせず、職に就かないまま両親と同居していた。性格は穏やかで、大きなトラブルはなかった。
そんな中、父親が認知症を発症。長男が自然と介護を引き受ける形になった。長女と次女は自分の生活に追われ、「兄がそばにいてくれることがせめてもの救い」と思っていたという。
しかし2024年、父親が亡くなった後、遺産整理の段階でショックを受けた。父は現金2億ウォン(約2120万円)を兄に残し、一戸建ても2年前、つまり父が認知症で判断能力を失いかけていた時期に名義が長男に移されていたのだ。
長男は「父が自分の介護への感謝としてくれたもので相続財産ではない」と主張。長女は「父は認知症だったはず。兄を信じていいのか」と困惑している。
これに対してイム・スミ弁護士は「認知症で判断能力がなかったことを証明できれば無効となる。また、正気のうちの贈与だとしても、遺留分の返還請求訴訟できょうだいは最低限の財産を受け取ることができる」と述べた。
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