2025 年 10月 2日 (木)
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観光客1000万人突破の韓国・済州島、ノービザ拡大を前に「期待と不安」

済州国際空港(c)news1

韓国・済州島を訪れた観光客が2025年、1000万人を突破した。全国的な無査証(ビザなし)制度の拡大を3日後に控えた時点での達成であり、地域観光業界には期待と警戒の入り混じった空気が広がっている。

済州観光協会によると、9月26日までに済州を訪問した観光客は累計1003万4152人(暫定値)。内訳は韓国人832万5306人(82.97%)、外国人170万8846人(17.03%)だった。外国人客数は前年同期比16.1%増。特にタイ(203.6%)、インドネシア(42.1%)、米国(32.0%)、台湾(35.4%)からの増加が目立った。ただ実数では依然として中国人が圧倒的に多く、外国人全体の73.8%を占めた。

済州観光市場は中国人に強く依存しており、2017年の中国政府による「限韓令」で2016年に360万人を超えた外国人客数が翌年には123万人台まで急減した過去がある。今回の無査証制度拡大を前に、業界が「期待半分、不安半分」とする理由である。

済州では2002年以降、法務省の告示に基づき23カ国を除く176カ国の観光客に30日間の無査証滞在を認めてきた。この「済州特典」によって多くの外国人が訪れたが、今後は全国的に無査証で旅行できるようになり、済州の優位性が薄れるとの懸念がある。

実際、制度拡大初日の9月29日には中国天津発クルーズ船「ドリーム号」(7万7000トン級、乗客2270人、乗務員600人)が仁川港に寄港し、2000人余の中国人団体客が済州ではなく仁川経由で入国する。

一方で業界からは商品多様化のチャンスを期待する声もある。直行便が2016年の31都市から13都市に減った現在、仁川や釜山を経由して済州に誘客できる可能性があるためだ。すでにソウル・釜山と済州を組み合わせた観光商品が登場している。

また、中国の国慶節(10月1~7日)期間は首都圏の宿泊施設がほぼ満室のため、短期的に済州への影響は限定的との見方もある。

済州観光業界関係者は「団体観光の基準が3人以上に緩和され、従来は個人旅行に分類されていた家族旅行客も団体に転じる可能性がある。中国経済の低迷や米中貿易摩擦による旅行需要の減少要因を踏まえた備えが必要だ」と述べた。

(c)news1

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