
「公衆トイレは都市の品格を決定する空間です」。プライバシー保護のAI開発を手掛ける韓国企業「UNIUNI」のハン・スヨン代表は「公衆トイレ」についてこう定義した。
メガ・ニュース(MEGA News)のペク・ボンサム記者の取材によると、ハン・スヨン代表は10月28日、韓国・水原で開催された「第10回世界トイレリーダーズフォーラム」で「変化する世界のための次世代トイレ」をテーマに講演し、公的空間のパラダイムシフトの必要性を強調した。
ハン・スヨン代表が公衆トイレに注目した理由は単純だった。誰もが毎日利用するのに、死角が最も多い空間だからだ。最も安全であるべき場所で事件が起きるという点が、常にハン・スヨン代表の心を不快にさせていた。
こうした問題意識は、大学在学中の2020年に、AIを用いた非識別型の安全技術「SAVVY(セビー)」を開発し、UNIUNI を創業するきっかけにもなった。ハン・スヨン代表は「見守られていないようで、実は見守られている技術」というコンセプトのもと、カメラを使用せず動きだけを感知して暴力・転倒・違法撮影などの危険を認識する技術を実現した。
ハン・スヨン代表が体現したその哲学は、水原・華城行宮の近くにある「美術館の隣のトイレ」によく表れている。SAVVYの安全技術とメディアアートを融合させ、衛生施設という従来の枠を超え、「一時的に滞在する時間の中でも安全とプライバシーが守られ、感性的な癒しを感じられる空間」を意図したのだ。
さらにフォーラムでは、次世代トイレが単なる施設にとどまらず、グローバルな公共アジェンダとつながっていることを強調した。「トイレが安全になれば、社会の人権や文化レベルも一緒に向上します。トイレを社会的資産として捉える必要もあると思います。今やトイレは、人権・環境・技術が交差する公共哲学の空間へと進化しています」
ハン・スヨン代表のビジョンは、トイレの枠を超えて広がっている。描く未来は、公共性と感性が共存する都市だ。
「プライバシー保護が重要でありながらも安全が求められる空間は、病院、療養施設、スポーツ施設など、数えきれません。私たちの技術は、もっと広い場所で活用できます。技術が人を中心に据えて設計されるとき、初めて安全が常識となる社会が実現できるのです」
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