2024 年 12月 28日 (土)
ホームライフスタイル見切り商品が行列1時間で売り切れ…韓国・今年の秋夕、梅雨、猛暑、台風の影響は?

見切り商品が行列1時間で売り切れ…韓国・今年の秋夕、梅雨、猛暑、台風の影響は?

ソウル市永登浦区のあるスーパー(c)news1

韓国のある主婦(53)はマートがオープンするやいなや、賞味期限があまり残っていない「見切り品」が陳列された売り場に向かった。2~3人の主婦も素早くカートを押して後に続いた。野菜と果物の価格が急騰したことによる新たな「オープンラン」(開店直後に客が駆けつける現象)だ。

今月16日午前、ソウル市永登浦区のある大型マートの風景だ。ここで働く従業員は「最近、見切り品がすぐ売り切れる。オープンして30分しかたっていないのに、少し残っているだけで、11時ごろにはすべてなくなる」と驚いている。以前に比べ、見切り品の売り切れ速度は2倍ほどになったという。

「見切り品」は定価より10~50%程度割り引いて販売される。この日、正式な売り場で販売される旬のブドウは1キロ当たり1万5900ウォン(1ウォン=約0.1円)だった。一方、割引コーナーにあるブドウは1万ウォンにも満たなかった。定価に比べて30~40%ほど安かった。

従業員は「われわれが随時商品を整理して見切り品コーナーに移動させるが、きちんと確認もせずにすぐカートに入れるお客さんが多い。それさえも高いと私に愚痴をこぼすお客さんも少なくない」と話した。

◇梅雨、猛暑、台風の影響

主婦らは1カ月後に迫った秋夕(チュソク、陰暦8月15日の節句、今年は9月29日)の買い物のことを心配している。梅雨と猛暑に続き台風までが重なり、果物と野菜の価格がさらに上がるという見通しが出ているためだ。

韓国農水産食品流通公社(aT)の農産物流通情報によると今月10日現在、果物価格は前月に比べ2桁以上、上昇した。リンゴの卸売価格は10キロ当たり8万6225ウォンで、1年前(5万9720ウォン)より44.4%上がった。先月(7万4872ウォン)に比べても15.2%値上がりした。

同日、陳列台の新リンゴ1袋(5~8個)は1万4900ウォン、青リンゴ1袋(5~8個)は1万1900ウォンだった。まだ旬ではないが、秋夕に欠かせない梨も高い。ウォンファン杯1箱(4~7個)の価格は1万5900ウォンだ。今の傾向が続けば、茶礼膳に供える果物を準備するだけでも5万ウォン以上かかるものと予想される。

ソウル市麻浦区のある大型マートで、リンゴと梨の価格を注意深く調べていた主婦(58)は「秋夕のころには今よりさらに値上がりしているはずだ。今回は質素に準備しなければならない」と話した。

会社員(27)は「休暇を取って友人とホカンス(近場のホテルなどでバカンス気分を味わうこと)を過ごすことにしたので買い物に来た。物価がこんなに高いとは思わなかったが、既に予算額を超過しているので、そのまま一食買って食べた方が良いのではないかと悩んでいる」と話した。

◇「生産者と流通、消費者を連結させる必要性」

今回の集中豪雨で、果樹の被害面積はソウルの汝矣島の面積(290ヘクタール)の10倍を越える3042ヘクタールにのぼった。そのうち、夏の旬の果物である桃(1418.8ヘクタール)とリンゴ(537.9ヘクタール)に被害が集中した。

陳列棚から商品を選ぶ消費者は、値上がりした価格に一様に慎重な様子だった。この日陳列された桃は忠州桃4~7個で1万8900ウォン、ネクタリン6~13個で1万1900ウォン、最も高い桃は4~6個で1万9800ウォンになっていた。

このため、海外から輸入された果物を手にする人の姿が目立った。60代の女性は商品を慎重に見定め、結局、カナダ産チェリーを1箱詰め込んだ。この日、店頭に陳列されたカナダ産チェリーは500グラム当たり1万1800ウォン、ジャクソングレープフルーツ5~6個は6980ウォンで、国産果物に比べて安かった。

韓国農村経済研究院は、供給量の減少により今月はリンゴの卸売価格が昨年の同じ時期に比べて5.6%高く、梨もやはり10.9~20.1%上昇すると見通した。しかし、台風の被害程度によって、これより価格がさらに上昇する可能性がある。

専門家は気候変動が大きくなるにつれ、今は農業もICT技術が融合した中長期的な対策が必要だと提言する。ソウル大のキム・ハンホ教授は「気候危機が今は現実に近づいているため、影響を最小化する生産方式を打ち立て、生産者と流通、消費者を連結させる必要性がある」と強調した。

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